アイドルやアニメのファン活動として若い世代を中心に広まっている「推し活(おしかつ)」。
アニメや漫画のキャラ、アイドル、俳優、声優…。推し活の「推し」にはさまざまな対象があります。
前回は「推し活とは具体的にどんな活動のことか」を解説しました。
今回は、アイドル推し活を中心に「推し」の存在と今どきのアイドルグッズについての考察をしながらアイドル推し活事情を解説していきます。
目次
デザイン性が光る雑貨も!男性アイドルグッズ事例

アイドルグッズといえば、コンサート会場で販売されるパンフやうちわ、ペンライトなどのライブグッズが思い浮かびます。
しかし最近では、ライブグッズ以外の雑貨やアパレルコラボ商品なども多くなってきました。
今回は、こっそり「推し活」をしているトランス社員の私物のグッズと、個人的に行っているという「推し活」写真素材を借りて「イマドキのアイドルグッズ」の事例を紹介・分析していきます!
円盤・写真グッズ

【2021 BTS WINTER PACKAGE】
DVDと写真集+肖像グッズ、雑貨の入ったセット。
このセットには雪だるまのワッペンシールが付いており、自分の服や文具に付けて推しグッズにできるのがうれしい。

【BTS 2021 SEASON'S GREETINGS】
K-POPでよくみられる、年末年始の毎年恒例ファンボックス「シーズングリーティング」(略してシーグリ)。カレンダーなど同梱されたDVD BOXには
パッケージや写真集撮影中の特典映像などが収録されている。
アイドルグッズの定番、カレンダーや写真集、パンフ、CDやDVD、Blu-rayなどのいわゆる「円盤」。
こちらは従来から大きく変わることはありませんが、音源がデジタルで購入できる時代になってからは
アナログの「円盤」商品はコレクションするための側面が以前よりさらに強くなってきました。
そういったコレクショングッズとして価値を高めるために特典やプレミアを付けたものが多くあります。しかし意外にも重要になってくるのが、その装丁のデザイン性やコンセプトの企画性です。
アニメグッズでは定番だったアクリルスタンドも、最近ではアイドル推しグッズで人気上昇中。
アクリルスタンドはコレクションするだけではなく、アクリルスタンドをカバンにいれてカフェ巡りや聖地巡礼で一緒におでかけを楽しむ人も多いのです。
ロゴ・イメージグッズ

「Boy With Luv」という曲のPVイメージで製作されたグッズ。ペールカラーでポップなテイストにまとめられて、ファングッズでなくても手に取りたくなるかわいいデザインの雑貨。

グッズのボールペンはパッケージも飾っておきたくなるようなかわいいデザイン。ファンが喜ぶポイントをとらえた、細やかなこだわりが光る。

こちらは「DNA」という曲のPVイメージで製作されたグッズ。ポップなコンセプトイラストを使ったグッズにはこのほかポーチやピンバッジも展開。

こちらは「IDOL」という曲のグッズラインナップから。
爪やすりなどコスメ雑貨も展開している。
【THEMED MERCH】
曲ごとのコンセプトグッズ。PVのイメージ、世界観でロゴやカラーを使ったオリジナルグッズたち。
インテリア雑貨などもあり、オトナでも持ちやすい、デザイン性がポイント。
パッケージデザインもかわいいので、そのまま飾っておきたくなります。
こちらはロゴやメンバーカラー、ツアーロゴやアルバムロゴが入った雑貨グッズ。
文具、写真アルバム、キーホルダーや爪やすりなどのコスメグッズ、女子の需要にマッチした雑貨が選ばれています。
そのデザイン性やコンセプトも重要です。
上記の事例では、曲ごとのPVやイメージで作られたグッズ。曲名をデザインロゴにし、カラーもPVのイメージに。
パッと見では普通のかわいい雑貨グッズでしかないので、「あまり周囲にオタバレしたくないけど推し活はしたい」という人にはとてもうれしいアプローチ。それでいて、ファン同士であればすぐに推しのグッズと気付けます。
アパレル・アクセサリー


オフィシャルモデルを務めるアパレルブランドのアパレル商品と購入特典グッズ。
ユニセックスなスウェットなので推しの着用写真を参考にコーデしてみました。
アイドルのアパレルグッズといえば、ツアーTシャツやスタジャンのようなものが思い浮かびますが最近はアパレルブランドとのコラボ商品も多くなってきました。
最近ではユニセックスなアパレルを着用するアイドルも多いので、推しと同じコーデを楽しみやすくなりました。
推しの着用・愛用ブランドのものを持つのは、今も昔も変わらず。
推しのインスタのプライベート写真や雑誌でブランドをチェックして、入手可能ならゲットしたり、よく似た服でアレンジして推しとお揃いコーデを楽しんだりします。ちょっとしたコスプレ感覚で推しコーデを楽しむのもアイドル推し活の醍醐味です。
ネックレスやリングなど、公式で販売されるグッズアクセサリーはもちろん人気です。
グッズのアクセサリーもコーデに取り入れて身につけます。
学生では公式アクセやブランドコラボ商品は高すぎて買えなかったり、価格的には買えるが自分の年齢や指向に対してデザインが合わず使えなかったりと、アパレルやアクセサリーはファンの年齢層が幅広ければ広いほどジレンマが起きてしまう側面もあります。
熱心なファンなら、自身に似合わなくとも推しのコレクショングッズとして手に取ってくれますが、より多くのファンの支持を集められるのは、どの世代にも受け入れやすいデザイン性や企画性が求められます。
こんなグッズ事例も

こちらはちょっと変わり種グッズ。アイドル本人の肖像やアーティストグッズではなく、クリエイターとしてプロデュースしたキャラクターのグッズ展開の事例です。写真のグッズに使われているキャラクターは、グループメンバーたちがキャラクターをプロデュースし、雑貨グッズを展開したもの。メンバーのファンはもちろんのこと、キャラクターグッズ自体のかわいらしさでファンでない人もグッズを手に取るようになったという、キャラクタープロデュースの成功例とも言えます。ファンでない人、自分たちを知らない人たちにも純粋にキャラクターの魅力でグッズを手に取ってほしいという、推し本人たちのもともとの意向もあり、それが達成できたこと自体がファンにとっても嬉しい出来事になったのでした。
アイドルグッズのおさえておくべきポイント
今どきのアイドルグッズの傾向を紹介してきました。
男性アイドルの女性ファンをターゲットとしたグッズには、どんなものに反響があったのか。
アイドルグッズで、おさえておくべきポイントをまとめてみます。
ファッション性が高いか
→推し活で重要な「生活の一部に推しの要素を取り入れたい」需要に直結します。かわいくておしゃれで、それが推しのグッズなら購入に迷いはありません。
推しの持つ世界観が出ているか
→推し本人のパーソナリティや背景、曲に対する本人たちの想いが反映されているものなら、仮にファッション的には自分の指向に合わなくてもファンは喜んで受け入れます。
センスのある遊び心があるか
→ファンの予想を上回る、良い意味で裏切ってくる面白さ。さらに言えば、その遊び心のある企画の発案に推し本人が関わっているなら、推しのカワイイところを垣間見ることができるので、それだけでも癒されます。(そしてもちろん買う)
練りこまれたコンセプトがあるか
→デザインの統一性や、企画の面白さなど、「さすが私の推し!いい仕事してくれる!」とファンであることを誇りに思い、周囲にも「このグッズかわいいでしょ!」とアピールしたくなります。つまり、ファンが自らグッズを宣伝してくれます。
推しのものならなんでも買うファンももちろん多いですが、それでもグッズの数が多いコンテンツであれば、ファンも手にするものを厳選します。上記の要素が当てはまったグッズは、その中でも実際に売れ行きも良く、完売に至ります。

こちらはテーマに「レトロ」を取り入れたDVD BOX。一見するとレコードのように見えますがこれはすべて特典映像の入ったDVDなのです。
DVDジャケットのデザインも写真もあえて古めかしく仕上げてあり、70‐80年代のバンドのレコードのような装丁。遊び心満載なレトロテイストで、韓国発のキーワード「ニュートロ」を前面に感じるデザインですね。
グッズのデザインコンセプトというものはグループの音楽性やアルバムテーマが深く関わってきますが、これは2021年の若者トレンド「レトロ」にも一致しており、ターゲット層を的確に刺激しています。
この事例の場合は、トレンドに乗る、というより、すでにトレンドの中心で発信するグループのBTSならではのコンテンツの強みが利いています。しかし、こういった遊び心が「次はどんなことをしてくれるんだろう?」と、ファンが目を離せなくなり、飽きられないポイントでもあるでしょう。
ファンにとっての「推し」アイドルの存在
どのジャンルの推しでも同じことが言えますが推しの映像や写真を眺めるだけでは飽き足らず、自身もなにかしら表現したい、活動したい欲求に突き動かされるのが「推し活」の神髄です。
推しへの愛を、コーデやファンアート、ハンドクラフトで表現する人もいれば、推しと同じ趣味を始める、推しの言語を学ぶ、などで推しと感覚を共有する人もいる。
特に、推しがアイドルの場合、現在進行形で同じ時代を生きる人間として彼ら彼女らのそのパーソナリティを尊重する傾向があります。
推しが今までとは違う新たな活動を始める、そのために今までの活動を縮小することもある。
それも推しの望みであるなら応援していきたい、という一種の親心(同世代であれば同志意識)が働きます。

推しが撮影で来ていた服装を参考に、似た色と形のボアブルゾン、Tシャツ、ネックレス、ボトムを揃えたコーデ例。
これも、推し活であり、推し活する人自身の、自己表現のひとつでもあります。
別に推しと付き合いたいわけではないし、ペアルックしたいわけでもない。
ただ、推しに似た服を身につけることで、ちょっとだけ推しの感覚を共有できるような気がする。
でも、共有できるからと気合を入れまくって着てるわけじゃない。
今日の自分のコーデのテーマを推しにするだけでなんとなくテンションが上がるから。
服装や持ち物など日々の生活に、自分の好きなものをアクセントで入れると、いつもよりちょっと楽しくなりますよね。
アイドル推し活も、そういう日々のアクセントとして行っている人が多いのです。
時代とともに変わるアイドルグッズ

K-POPアーティストの「グッズ販売機会の創出の手法」や、ファン心を刺激する「表現力の高いオリジナルグッズ」はとても参考になります。
これまでアイドルグッズといえば、ペンライト、Tシャツ、ツアーパンフなど、コンサートツアーグッズが主流でした。
しかし、コロナ禍でライブコンサートが従来のように開催できなくなっている今、ライブコンサート以外で、EC経由でも手にしたくなるグッズが求められています。
そして、テレビメディアではなくSNSメディアを通して話題になるグッズ企画は、新規ファン層の開拓にもつながります。
推し活需要を的確に捉え、デザインコンセプトをよく練ったアイテムこそ今後のグッズ展開の突破口になるのではないでしょうか。
推し活したいファンの心をくすぐれるようなアイドルグッズの製作や企画のアイデアをぜひご相談ください。トランスからもご提案させていただきます!