近年、ジェンダーレスや多様性といった言葉を頻繁に耳にするようになりました。
メンズコスメ市場に参入する企業が増えるなど、男性の目指すカッコよさにも多様性がうまれています。
今回は『メンズ向け新業態』にフォーカスします。
従来では男性が手を出しにくかった商品・サービスを利用してもらう、男性ユーザーが多い趣味をより深く掘り下げられたものなど、男性向けの企画やサービスのポイントと、さまざまなコンテンツおける男性ユーザーの動向と心理などを考察します。
ジェンダーレス時代に伴い盛り上がるメンズ向け新業態
かつては男らしさといえばワイルドで無骨なイメージがあり、今でもその価値観が消えるわけではなくカッコイイ男性像です。
しかし多様性を認め合う現在は、エンタメ業界におけるトレンドなども影響し、華奢で美しい、綺麗な男性のカッコよさを目指す人も多い時代。
清潔感のあるルックスを求める男性のインサイトをとらえた商品・サービスが盛り上がりを見せています。
メンズコスメ
各コスメブランドから男性向けのメークアップ商品や、男女問わず使えるジェンダーレスなコスメが発売されています。
特にZ世代男子を中心に、さりげなく肌のトーンや眉、唇の血色を整える、ぱっと見ではわからない程度のメイクをする方が増えているようです。
さりげないメイクをすることで、肌荒れなどのマイナスイメージを隠し、相手に清潔感のある印象を与えることができます。
盛るためにメークアップするわけではないので、メンズコスメは知識のない男性にとって入り口になりやすいと考えられます。
スキンケア商品においては、とりあえず男性用、ではなく、自分の肌質にあわせて選びます。
どのスキンケア用品を選べばいいかわからないときは女友達に聞き、女性に人気のあるものを使う男性も増えているようです。
スキンケアブランドに関しては、「男性向け」と大雑把に括らず、肌質に合わせたアイテムが求められます。
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メンズ美容エステサロン
脱毛やフェイシャルエステなど、こちらも外見に清潔感を求める男性人気のあるサービスです。
特に近年では、リモートワーク中にマスクをせず画面に映る自分の顔をみて、ひげやシミなどのケアに力を入れ始める人も多いようです。
これらのエステサロンにも男性専用のものが増えてきており、人気俳優やアーティストがCMキャラクターに起用されているのも頻繁に目にしますね。
美容=女性だけが力を入れるものではなく、男性が取り組む美容・脱毛=清潔感ととらえられるようになりました。
メンズネイル
https://gatsby-the-designer.jp/nail/
男性がネイルをする理由は大きく2つあるようです。
1つ目は、身だしなみを整え、相手に清潔感・好印象を与えるためです。
例えばビジネスマンは、名刺交換や、資料を説明する際に指す指先、タイピングなど、さまざまなシーンで手元を見られています。
そこで爪をきれいにしておくことで、相手に不快感を与えない、また自分の自信にもつながるといいます。
2つ目は、色やデザインを施し、ファッションとしてネイルに挑戦すること。
ネイル=女性のモノという概念にとらわれず、自由にファッションを楽しむ人が増えています。
人気帽子ブランド「カンゴール」がメンズ向けネイルサロンを開業したり、主に男性化粧品を取り扱う「マンダム」のギャッツビーからメンズ用ネイルが発売されたりと、興味があるけどチャレンジできない男性や初心者でも楽しめる施策が広がり始めています。
男性の趣味を深堀するメンズ向け新業態
男性に人気のある趣味はさまざまですが、それらの趣味をさらに追及したり、別の方向に発展させたりするメンズ向け新業態が登場し話題になっています。
メンズ・ドンキ
幅広い商品を取り扱う“激安ジャングル”でおなじみのドン・キホーテ。
2021年12月に、「男の隠れ家」をテーマにした「メンズ・ドンキ」を開業しました。
アウトドアグッズやプラモデル、フィギュア、車、酒、料理など、大人の男性のマニア心をくすぐる、趣味をさらに深堀できるアイテムが充実しています。
また、黒を基調とした小物やインテリア雑貨など、男性が使いやすい色合いの商品だけを集めたコーナーも設置されるなど、ユニークな試みを展開しています。
メンズプライベートサウナ
https://mente-salon.com/pr220108/
近年大人気のサウナは、もともと男性限定の場所が多い印象でしたが、よりサウナを極めたい人のための“プライベートサウナ”が続々とオープンしています。
サウナブームが過熱する中、人との接触を避けて利用できる完全個室型のサウナでは、自分の好きなタイミングでロウリュができたり、音楽を流したり、ストレスフリーに過ごすことができます。
1人用の部屋の他に3人まで利用できるグループルームを備えている施設もあり、サウナ仲間と一緒にととのうことができます。
個室型サウナをチェーン展開する企業も現れていますが、人気のあまり日々満室状態が続いているそうです。
メンズヨガ
男性アスリートがトレーニングの一環としてヨガを取り入れていることがテレビで紹介された影響などから、近年男性からの人気も高まっているようです。
日本のヨガ人口は約590万人と言われており、そのうち男性の割合は約3割程度だそう。
年に1回以上ヨガを行っている潜在者も含めると770万人にまで上り、今後成長していく市場としても注目されています。
日本には女性専用ヨガスタジオが多くありますが、男性にもヨガを広めようと、一般社団法人日本メンズヨガ協会がメンズ向けヨガ教室を開いています。
ジムで体を鍛えるのと同じように、筋肉量アップやダイエット、肩こりや腰痛が楽になるなどの効果が期待でき、平日の夜は仕事帰りの男性が多くスタジオに訪れているようです。
大人の習い事として、ボディメイクの一環として、男性ユーザーからの注目度が上昇中です。
メンズ向け新業態の2つのパターン:「新たに呼び込む」「より深くのめりこませる」
①男性ユーザーを新たに呼び込む
コスメやネイルのように従来は女性向けだと考えられていた商品・サービスの市場が成長しています。
男性ユーザーに注目されるようになったのはここ最近のことなので、まずは男性ユーザーを増やすため男性が手を付けやすいように“男性専用”や“メンズ向け”といったフレーズが目立ちます。
しかし、女性と同じような体験を求めるユーザーも多く、男性向けに特化していない場合もあります。
➁男性が好きな趣味により深くのめりこませる
一度ハマったらギアやレアアイテムにこだわってついコレクションし始めてしまう、そんな男性の心理を突いた、ワンランク上のサービスを提供するパターンも人気です。
スポーツやフィットネスなどは、結果が目に見える、上達して褒められたり自信に繋がったりと、ステップアップを楽しむことができます。
趣味として楽しんでいる男性ユーザーが多いため、各社がそれぞれよりマニアックなコンテンツを用意し、他社との差別化を図っています。
まとめ
ジェンダーレスや多様性を認める風潮などの影響により、商品やサービスが男性向け・女性向けで括られている意味が薄れ、オープンになってきている市場があります。
もともと好きなものをさらに極められるコンテンツ、ジェンダーレスなユーザーに向けた商品・サービス、身だしなみを整えたいユーザーなど、多様化したユーザーのニーズとインサイトをとらえた商品・サービスが現れています。
ジェンダーレスなデザインの商品が注目される時代ではありますが、“男性向け””女性向け”のニーズがなくなるわけではないと考えられるので、世の中の動向やトレンドを感度高くキャッチして、従来の固定観念にとらわれずに多様なニーズをとらえていくことが重要になるでしょう。
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セウヘイ
株式会社トランス社員。メンズネイル、結構興味あります。確かに自分の手元が綺麗だとテンション上がりそうですね。逆に、爪を切り忘れた日とささくれがある日は、もう、だめです。テンション下がります。