SDGsへの取り組みの中で、「カーボンフットプリント」という言葉を見かけたことはありませんか?
カーボンフットプリントとは、製品の製造などで排出される二酸化炭素の量を示す数値です。

今回は、カーボンフットプリントの取得や実例についてまとめました。
SDGsを意識した企業活動、消費者が商品を選ぶ際に重要な指標のひとつとなる、カーボンフットプリントについて解説します。

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カーボンフットプリント(CFP)とは?

カーボンフットプリント(CFP)とは?

「カーボンフットプリント」とは、製品の原料調達から廃棄・リサイクルまでの間に排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算して数値化したものです。

英語では「Carbon Footprint of Products」といい、略して「CFP」とも呼ばれることもあります。
日本語に直訳すると「製品の炭素の足跡」となり、製品がつくられるまでにどれほどの温室効果ガスが排出されているかを数値で見ることができます。
例えば、Tシャツ1枚におけるカーボンフットプリントは、約15kg(二酸化炭素換算量)であるといわれています。

また、製品の資源調達から消費・処理・処分までのライフサイクル全体における環境負荷を評価する手法を、ライフサイクルアセスメント(LCA)とよびます。

表示してカーボンフットプリントを見える化する

カーボンフットプリントに取り組んでいる企業に、取り組みの証となるマークを付与し表示する仕組みがあります。
現在、マークの付与などの運用・活動は「一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)」が行っています。
SuMPOに申請のうえ製品のカテゴリーごとの計算方法でCO2排出量を算出、検証に合格したら登録公開申請を行うとマークを取得できます。

もともとは4庁省による「カーボンフットプリント制度試行事業」をSuMPOが引き継ぐ形で「CFPコミュニケーションプログラム」が設立されました。
同プログラムは2020年3月で新規受付は終了し、「エコリーフ環境プログラム」へ統合・移行されています。
「エコリーフ環境プログラム」には、「エコリーフ」と「カーボンフットプリント」の2種類があります。
カーボンフットプリントは地球温暖化負荷のみを対象とし、CO2排出量を算出し表示する「CFP宣言」を行います。
これに対してエコリーフは3つ以上の領域について開示するものです。
もちろんどちらの宣言を行うかは事業者が選択できます。

カーボンフットプリントの計算方法

カーボンフットプリントの算出は、製品カテゴリールールを選定してから製品種ごとの算定ルールに従い、次の順序で行われます。

  1. 製品のライフサイクルを精査する
  2. 工程ごとのCO2排出量を算定する
  3. すべての工程の排出量を合計する

まず材料調達から廃棄まで、どのような工程があるか・工程をさらに細分化できないか精査します。 例えば食品製造の場合、「豚を育てる」という工程は、「餌を与える」「糞尿処理」などに分けられます。

次に、工程ごとのCO2排出量を算定します。式は次の通りです。

「CO2排出量=Σ(活動量i × CO2排出原単位i)」※
※i はプロセス(前述の「餌を与える」「糞尿処理」にあたるそれぞれの工程)を指す

「活動量」は素材の使用量や輸送量など、「CO2排出原単位」は素材1キロ当たりなどのCO2排出量のことです。
工程ごとにこの式に当てはめてCO2排出量を算出します。
最後に全行程の排出量を合計して製品のトータルの排出量を算出します。

水資源の使用量を知ることができる「ウォーターフットプリント」

CO2の排出量を数値化したカーボンフットプリントのように、水資源の利用について知ることができる「ウォーターフットプリント」という指標もあります。ウォーターフットプリントは、製品やサービスを生産・消費・廃棄する過程で消費される水の量を示す数値です。たとえば、コーヒー1杯に使用される水の量は、コーヒー豆の栽培から消費されるまでで12リットルだと言われています。

自社の製品がどのように環境に影響を与えているのかを、水という切り口で知ることができます。CO2という面で見るカーボンフットプリント同様、環境問題に取り組むために大切な指標です。

カーボンフットプリントの意義・目的

カーボンフットプリントの意義・目的

カーボンフットプリントに取り組むことは、さまざまな面で意義があります。対策の重要性と表示する理由とに分けて、具体的に見ていきます。

対策することの重要性

カーボンフットプリントに取り組むことは、地球温暖化への対策になります。
地球温暖化の主な原因となるCO2の空気中の濃度は、産業革命前1750年の280ppmから2013年には400ppmを超え、40%以上も増加しています。
それに伴い気温も上がっており、最悪の場合2100年末には最大4.8度上昇するという試算もあります(1986~2005年を基準とする)。

CO2排出の抑制は世界的な急務であり、世界的な大企業を含め、多くの企業がカーボンフットプリントの表示に取り組んだり、CO2の排出量と吸収量を均衡させる「カーボンニュートラル」を表明したりしています。
日本は、2030年度には温室効果ガス46%削減(2013年度比)を目指すと2021年4月に表明しました。
2020年にも臨時国会で、2050年までに温室効果ガスの排出を全体でゼロとする宣言を行っています。
日本の企業としても、削減する責任があります。

カーボンフットプリントを表示するメリット

カーボンフットプリントを表示することは、企業・消費者双方にメリットがあります。
まず企業側のメリットとして考えられるのは以下の通りです。

【企業側のメリット】

  • 自社の排出状況を把握することで効果的・具体的な対策がしやすくなる
  • 消費者へのアピールになり、業績向上が期待できる
  • カーボンプライシング(排出量に対する税金、排出権取引など)のコストカットにつながる
  • 環境問題に取り組まない企業が淘汰されていくと考えられるため、競争力が高まる

社会的責任という面はもちろんですが、短期的にも中長期的にも経営面におけるメリットも期待できます。

次に消費者のメリットとして考えられるポイントは以下の通りです。

【消費者のメリット】

  • 環境に対する意識を高めることができる
  • 環境負荷の小さい商品を選択することができ、自分でも脱炭素の行動に取り組める

このように、SDGsのめざす持続可能な世界を実現させるためには温暖化の対策は不可欠だと言えます。
カーボンフットプリントは、SDGsの目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」・12「つくる責任 つかう責任」・13「気候変動に具体的な対策を」に直結する内容です。

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カーボンフットプリントの表示に取り組んでいる商品・企業の事例

カーボンフットプリントの表示に取り組んでいる企業の事例をご紹介します。

  • シューズ「Allbirds(オールバーズ)」
  • 腕時計「シチズン」
  • ハム・ソーセージ「日本ハム」
  • 文房具「コクヨ」

どの企業も、カーボンフットプリントの表示だけでなく、CO2排出削減の具体的な施策を行っています。CO2以外の問題に取り組む企業もあります。

それでは具体的に見ていきましょう。

Allbirds(オールバーズ)

Allbirds(オールバーズ)

「Allbirds(オールバーズ)」はアメリカのスニーカー・アパレルメーカーです。日本にも、原宿と丸の内に店舗があります。

オールバーズはすべての製品においてカーボンフットプリントを表示しています。
商品には適切な森林管理の認証「FSC認証」の素材やリサイクル素材が使われており、梱包にもリサイクルの段ボールを使用しています。
2025年12月までの目標の1つとして同社が所有・運営するすべての施設と製造過程で使われる電力を100%再生可能エネルギーにすることを掲げています。

また、専門家と共同開発した、カーボンフットプリントを算出できるLCAツールを公式サイトにて公開しています。
「自分たちだけでは、地球を変えていけない」という想いから、競合となる他社も使用できるよう公開し、環境に配慮した製品づくりの意識をファッション業界に広げています。

シチズン

シチズン

3大国産時計メーカーのひとつであるシチズン。
シチズンでは「Lシリーズ」においてカーボンフットプリントプログラムを取得しています。

「Lシリーズ」では、テーマに合わせて、バンドに漂着ペットボトルなどリサイクル素材を使用した商品や、環境や人を犠牲にすることなく作られたダイヤモンドや鉱物を使用した商品があります。
そのほかサステナブルなパッケージを使用するなど、リサイクル率を高める施策も行っています。

また、環境配慮の取り組みとして、太陽光や室内のわずかな光で発電でき、余った電気は二次電池に蓄えることも可能な「エコドライブ」技術や、扱説明書のデジタル化・ペーパーレス化、購入時にボックス不要を選択するとマングローブの苗を1本寄附するといった活動も行っています。

日本ハム

日本ハム

高い国内シェアを誇るハム・ソーセージメーカー「日本ハム」。
「森の薫り あらびきウインナー」「森の薫り ロース」「森の薫り ハーフベーコン」の3種がカーボンフットプリント表示対象となっています。
原料の調達・生産・加工・パッケージの廃棄とリサイクルの段階の中で、環境負荷の大きい部分を洗い出し、CO2削減に取り組んでいます。
ナイロンを再利用したフィルムを一部包材に使用したり、ラベル・ステッカーに「FSC認証紙」を使用したりと、関与できる余地の高いパッケージングの部分を先行して環境配慮素材へ切り替えています。

カーボンフットプリント対象以外の商品でも、人気商品のウインナー「シャウエッセン」「芳醇」のパッケージを変更、シャウエッセンは従来のパッケージよりCO2排出量を約30%カットしていたり、飼育・工場における温室効果ガスの削減にも取り組んだりしています。

コクヨ

コクヨ

文房具を始め、オフィス向け家具の大手メーカー、「コクヨ」。
オフィス・工場・流通において、太陽光パネルやLED照明の導入など低炭素化に関するさまざまな取り組みを行っています。

カーボンフットプリントが表示されている「チューブファイル」はオフィスでもよく見かける青いファイルです。
再利用可能な表紙、間伐材使用の商品を用意しています。
また、その他にも、間伐材やバイオマス原料の使用、脱プラスチック、環境汚染への対策等、環境に配慮した取り組みを行っています。

まとめ

カーボンフットプリントはさまざまな業界に広がりつつあります。
またAIやIoTなど技術的な進歩が後押しにもなっており、今後も成長が見込まれています。

2018年1月の経済同友会の提言では、製品・サービスレベルでCO2排出量を定量的に把握する取り組みを推進すべき・カーボンフットプリントを事業活動のインフラとして早期に本格導入していくべきとしています。
経団連も2021年11月に「経団連カーボンニュートラル行動計画」を発表し、2050年のカーボンニュートラルの実現を最重要ゴールとしています。

カーボンフットプリントに取り組むことは、今後ますます重要な意味を持つことになるでしょう。
たとえば食品にはカロリーや栄養成分が表示されていますが、将来的には服や家電にもカーボンフットプリントが表示されるようになり、消費者が製品を選ぶ際の指標のひとつになるかもしれません。
社会的責任を果たしつつ業績面でもメリットが見込まれるカーボンフットプリントに注目してみてはいかがでしょうか。

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