次世代のWeb上の技術の1つとして、近年頻繁に名前を聞くようになったNFT。
高額で取引されるNFTアートやファッションが話題になっており、日本国内ではさまざまな事例が見られるようになりました。

この記事では、日本国内のNFTの事例についてまとめました。
話題のNFT市場に参入していく各企業の新たな取り組みをご紹介していきます。

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NFTとは?

「NFT(Non-Fungible Token)」とは、日本語では「非代替性トークン」と訳されます。
例えて言うならば、デジタル上の資産の鑑定書や所有証明書のようなものです。

NFTの特徴としては次の3点が挙げられます。

  • 唯一性を証明できる
  • 改ざんできない
  • さまざまな情報を記録できる

この特徴を利用して、さまざまなデジタルデータを売買できるようになっています。
「メタバース」や「Web3.0」、「暗号資産」など話題の概念とも親和性が高く、現在注目されています。
ローンや融資の担保としてNFTを利用する動きまであり、今後はいっそう一般的になることが予想されます。

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NFTに関する基本情報は下記コラムにて解説しています。

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盛り上がりを見せるNFT市場の現状

NFTの取引額

NFTの市場は拡大傾向にあり、活況にあります。
NFTアートの1つが75億円で取引されて話題になったことは記憶に新しいのではないでしょうか。
とくに2021年は取引額が急増し、2021年の世界でのNFTの取引額は2兆円~2.5兆円まで達したとも言われています。
レポートによっては4兆7100億円という数字もあります。

発表もとによって数字の違いはありますが、2021年に取引額が急増したという点では一致しています。
例えばDappRadar社のデータによれば、2020年に1億ドル(約115億円)だった取引額は、2021年には220億ドル(約2兆5000億円)とされています。
L’Atelier社の数字では、2021年の取引額は176億ドル(約2兆円)で、なんと前年比21,000倍とされています。

高額取引されているNFTアートですが、世界2大オークションハウスのクリスティーズとサザビーズでも2021年のNFTに関する取引額がそれぞれ約1億5000万ドル(約172億円)と1億ドル(約115億円)を記録しています。このように、NFTは急速に市場が拡大しています。

NFTのトレンド

高額なNFTアートは、ステータスシンボルや個人のブランディングとして所有・利用されるのがトレンドとなっています。
NFTアート作品をSNSなどで自分のプロフィール画像にすることを「PFP(Profile picturesまたはProfile pictures non-fungible tokens)」と呼びます。
NFTコレクターにとっては、高額で取引されているNFTアートをPFPにすることがステータスになっています。
またIT系の仕事をしている人にとってはセルフブランディングの手段にもなっています。

このように高額なNFTアートが話題になりやすいのですが、実際には1万ドル(約120万円)以下の小口取引が市場の75パーセント以上を占めています。
とくに比較的低価格で収集しやすいトレーディングカードなどが人気です。
2021年は、米プロバスケットの名場面をトレーディングカードのようなNFTにした「NBA Top Shot」 がアメリカで大ヒットしました。

トレーディングカードにおいては、数量限定や購入者限定コンテンツなどの限定ものは人気と注目が集まります。
2288パック限定の「ももいろクローバーZ」のトレーディングカード、100枚限定で販売された「SKE48」の人気メンバーの卒業コンサート記念トレーディングカードなどは即完売となりました。

NFTには問題点も存在する

NFT市場は活況を呈していますが、問題点も存在します。例えば次のような点が問題として指摘されています。

  • 著作権上の問題など法整備が追いついていない
  • 資金洗浄の温床となっている
  • NFTの生成には環境負荷が大きい

NFTは唯一性を証明できますが、デジタルデータ自体は複製可能です。
そのため、著作権を持たない人がデータを複製してNFTを付与する「贋作」が問題となっています。
また、例えばファッションの場合、リアルの商品のデザインを第三者がNFT化してもオリジナルのデザイナーは著作権を主張できません。
むしろ模倣者が権利主張できてしまうのが現状です。

また国境を越えてほぼ瞬時に送金できる点を悪用し、資金洗浄目的の売買・仮装売買などが行われています。

そのほか環境負荷の問題もあります。
多くのNFT売買では仮想通貨「イーサリアム」が利用されています。
イーサリアムの取引承認方式「PoW方式」は生成・売買時の消費電力が大きく、環境の負荷も大きくなってしまいます。
1回のトランザクションのCO2排出量がYouTubeを6215時間視聴した場合と同じという試算もあります。
ただし環境負荷については、現在では対策が行われるようになり改善されつつあります。

マーケットプレイスに新規参入し始めている企業

NFTを出品する側だけでなく、販売場所となるマーケットプレイスにも企業の参入が見られます。
国内の新しいマーケットプレイスのいくつかの概略をご紹介します。

LINE NFT

NFT最新事例 マーケットプレイス

コミュニケーションアプリの大手「LINE」によるマーケットプレイス。
2022年4月13日に提供開始しました。
LINEユーザーなら簡単にアカウント開設ができる点、LINE Payによる日本円決済も可能な点などが特徴です。

またLINEのスタンプに活用予定だったりLINE上でNFTをやり取りできたりするのも同社ならではです。

ORADA

NFT最新事例 マーケットプレイス

日本文化領域に特化したマーケットプレイスで、竹かご・位牌・書道・浮世絵の4ジャンルの作品販売からスタートしました。
クレジットカード・PayPalなどの決済に対応。オークションではなく定価販売、ガス代(手数料)もORADAが負担する点も特徴です。
2022年4月29日にβ版サービスを開始しました。

楽天NFT

NFT最新事例 マーケットプレイス

ネット通販大手の楽天によるマーケットプレイス。
購入の際に楽天ポイントを貯めたり使ったりすることも可能で、楽天ユーザーには始めやすいサービスとなっています。
2022年2月25日提供開始、楽天IDを利用して日本円(クレジットカード)決済が可能です。

そのほか、フリマサービスの「メルカリ」もNFT販売を開始しており、今後も既存のサービスによるプラットフォーム参入が予想されます。現状、新しい国内のプラットフォームはまだあまり多くはありませんが、初めてでも使いやすいサービスが目立ちます。

注目したい!一風変わった日本国内のNFT最新事例7選

アートやトレーディングカードが頻繁に話題になるNFTですが、日本国内ではさまざまなアイテムの取引が行われています。
一風変わった事例も含め、さまざまな業界、用途で展開されたNFTの最新事例をご紹介します。

お笑い:よしもとNFTシアター

NFT最新事例

「よしもとNFTシアター」は、お笑い芸人の事務所「吉本興業」によるNFTコンテンツです。
同事務所に所属するお笑い芸人27組による完全撮りおろしコント映像54種をNFTコンテンツ化しました。
M1グランプリ2020年王者のマヂカルラブリーやキングオブコント2020年の王者ジャルジャルなど実力派をはじめ、若手からベテランまで幅広いラインアップです。
全種類をコンプリートすると、期間限定で参加した27組のサインNFTをプレゼントなどの特典も用意されています。

吉本興業は、これ以前からリアルのトレーディングカードとNFTを紐づけた商品「よしもとデジタルコレカ」を販売しています。

アクセサリー:AMBUSH

NFT最新事例

「AMBUSH®(アンブッシュ)」は、音楽ユニットm-flowなどで知られるVERBALとデザイナーのYOON夫妻により2008年に誕生した実験的なジュエリーブランドです。
ブランド創立のきっかけとなった「POW!®」をNFTアイテム「POW!®“Reboot”」として発表しました。
もともと「POW!®」はリングやネックレスなどのアクセサリーとして発売されていたアイテムでした。
NFTでは2022年2月に2022個限定・0.15イーサリアム(約5万円)で販売、2分で売り切れたといいます。
そのほかAMBUSH®ではメタバース空間"AMBUSH® SILVER FCTRY"も2022年3月に期間限定で公開されました。
NFTアクセサリー第2弾の「POW!® GLOW IN THE DARK」はメタバース空間でのみ販売されるなど、展開方法にも工夫が見られます。

今後どのように展開していくかは未知数ですが、アクセサリーでもアバター用ではない形で販売され瞬時に売り切れたのは示唆に富んでいます。魅力的な商品であれば、どのような形でも売れるのではないでしょうか。

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ウイスキー樽:UniCask

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「UniCask」は、高級酒類の輸出入を行う(株)ジャパンインポートシステムとブロックチェーンシステム開発を行う(株)レシカが合同で設立しました。
ウイスキー樽をNFT化し、簡単に管理・取引ができるサービスを提供しています。

年代物のウイスキーの価値が上がる中、樽の所有は手続きが複雑で一般のコレクターや愛飲家には事実上不可能でした。
しかしNFT化により一般の消費者も売買や管理が可能に、しかも簡単に行えるようになりました。
一見デジタルの技術と相性が悪いように見える伝統的な業界でも、逆にNFT技術が新たな風を吹き込むきっかけとなった好例です。

当初は樽ごとNFT化していましたが、現在は熟成中の樽を小口に分割してNFT化、熟成が終わってボトリングするときにNFTを実際のウイスキーと交換することができる仕組みです。
樽にもよりますが、ボトリングは早いもので2032年。
ボトリングを待つ間購入者は、サンプル進呈などの特典が受け取れるトランプゲームに参加できます。

チケット購入特典:ずっと真夜中でいいのに。

NFT最新事例

2018年にYoutubeにて活動開始、同年メジャーデビューした「ずっと真夜中でいいのに。」。
メディアへの露出はほぼ文字だけで、覆面などはしていないものの、ライブでも照明などにより姿が見えにくくなっているなど、謎の多い人気グループです。

2022年4月に開催された単独ライブでは、一部会場での公演チケット購入者を対象にNFTが配布されました。
会場で配布されたポストカードの二次元コードから入手する仕組みで、新しいノベルティの事例となりました。
配布されたNFTは、匿名アーティスト・X AtoZ MUSEUM(R) by A2Z(TM)(エートゥージー)との共同制作。このようにリアルのイベントの特典としてNFTを配布すれば、リアルとバーチャルを行き来する体験を提供することができます。

連載漫画:ゾミア

NFT最新事例

「ゾミア」はヤングマガジンにて連載されている漫画です。
「KLKTN Limited」が運営するプラットフォーム「Kollektion(コレクション)」を通じて、各ページがNFTとして販売されています。
単行本第1巻が発売される際には、より多くのNFTを購入した上位20名のユーザーネームを掲載する予定となっています。
その他、将来的にはNFTオーナー限定のプレゼントやイベントの実施などの特典も予定しています。

熱心なファンにとっては作品の一部を所有できる喜びが得られ、作者にとっても金銭的なサポートとなります。
またページごとに細分化することで、価格を抑えられて購入のハードルを下げることができます。

NFTには1つの高額なものを所有する楽しみ方もありますが、手が出る価格のものをコレクションするという楽しみ方もあります。
この作品のように多数購入してもらう仕組みを構築するアイディアが得られればビジネス上のチャンスにもなるでしょう。

楽曲:坂本龍一「Merry Christmas, Mr. Lawrence」

NFT最新事例

坂本龍一は日本を代表する音楽家の1人。
とくに広く知られている作品が、映画「戦場のメリークリスマス」のテーマ曲「Merry Christmas Mr. Lawrence」です。
この曲の右手のメロディー595音が、1音ずつデジタル上分割・NFT 化のうえで販売されました。
販売時にはサーバーがダウンするほどアクセスが集中しました。

前述の漫画「ゾミア」もそうですが、コンテンツを細分化して小口販売することは入手したファンにとって作品そのものを所有しているという満足感を得られることだと言えます。
実際に購入した方の1人は、これまで以上に美しい曲に聞こえるようになり、とくに自分が購入した音が鳴る時はものすごく感動する、と話しています。
NFTのために新しく用意したコンテンツには限定性がありますが、この曲のようにすでによく知られたコンテンツをNFT化することにも既知のものならではの特別感があると言えるでしょう。

電子印鑑:シヤチハタ

NFT最新事例

大手印鑑メーカー「シヤチハタ」は、2021年8月に、「NFT印鑑」の共同開発に合意しました。
2021年8月に、「NFT印鑑」の共同開発に合意しました。
ブロックチェーン技術を持つ株式会社ケンタウロスワークスと、法的知見のある早稲田リーガルコモンズ法律事務所との3団体による開発を行います。
NFT印鑑は、印影データをNFT化することで実現する電子印鑑です。

同社ではすでに「Shachihata Cloud Business」というビジネス向けの電子決済サービスを提供しており、その中に電子押印の機能もあります。
同サービスも「電子印鑑ごと固有ID発行」「捺印の履歴記録」により、いつ・誰が押印したのかが分かるようになっています。
固有性の保証という点で、印鑑とNFTは親和性が高い関係にあります。

まとめ

今までNFTは投機的な面から語られる場面が多くありました。
しかし最近は、高額であっても投機ではなく所有そのものが目的となっているケースも出てきています。
また限定性の高いものやイベントなどの記念となるものも所有欲をくすぐりますし、低価格のものをコレクションする楽しみもあります。
始めやすいプラットフォームが多数参入したことや比較的低価格の商品が流通していることにより、今後日本国内でもさらに新しいユーザーが増えて裾野が広がっていくことが予想されます。
買い求めやすい価格帯の商品にも十分チャンスがあると言えるでしょう。

企業が新たにNFT市場に参入する場合は、ユーザーに対してどういった価値・メリットを訴求するかが重要になりそうです。

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