近年、「アバター」を取り巻く環境が大きく変化し、アバターが利用される機会が急増しています。
そもそもアバターとは、どのようなものなのでしょうか?
本記事では、アバターの概要をはじめ、現在どのようなシーンで活用されているか、今後アバターはどのようになっていくかなどについて紹介します。
アバターについて知りたい人はもちろん、今話題の「メタバース」にビジネスで関わっていこうと考えている人にも役立つ内容となっています。
アバターとは
「アバター」は、インターネット上で自分の分身として使われるキャラクターのことを指します。
アバターには、2次元の画像のアバターと3Dで表現された立体的なアバターがあります。
チャットなど文字ベースの交流では、2次元のアバターが使われることが一般的です。
近年は、インターネット上でアバターを操作して活動や交流する場面が増えており、3Dのアバターが使われることも多くなってきています。
アバターの外見は、「分身」といっても、使う人によってさまざまです。
実際の自分の姿に近づける場合もあれば、性別を変えたり、人間以外の動物などにしたりとリアルの自分と全く違う姿のアバターを使う場合もあります。
アバターの意味・語源
「アバター(avatar)」の語源は、サンスクリット語の「アヴァターラ(avataara)」です。
アヴァターラは、インドの神話などにおいて「(神や仏の)化身」を指す単語です。
1979年発表のRPG「Avatar」において、初めてコンピューターの世界で「アバター」の語が使われたといわれています。
その後、ゲームや小説でも使われて広まり、日本でも使用されるようになりました。
アバターが注目される理由
アバターのメリットとしてまず挙げられるのは、実際の顔を相手に見られることなく、世界中の人と交流できる点です。
現在、インターネット上での交流がますます盛んになっているため、アバターは、より一層注目されるようになってきています。
画面の中でアバターとして活動することにより、まるで実際にその世界にいるかのように、感じることができます。
また、アバターは、これまでゲームやSNSで使われるのが中心でしたが、最近は、ビジネスにおいても活用されるケースが増えてきています。
また、店頭に設置したアバターを介して遠隔で接客するサービスなども展開が始まっています。
知識豊富なスタッフによる説明と、商品画像を用いた説明を組み合わせることで、来店客にとってより分かりやすく、気軽にコミュニケーションが取れる、といったメリットが生まれます。
アバターが活用されているシーン・用途
アバターは、どのような場面でどのように使われているか、以下、具体例をまとめてみました。
アバターは、主に4つのシーンで活用されています。
- ゲーム
- SNS
- ビジネス
- メタバース
それでは、一つずつ見ていきましょう。
ゲーム
ゲームでは、早い時期からアバターが使われており、現在でも活用されています。
ゲーム中の世界で行動する自分自身としてアバターが利用されており、特によく使われるのは、「RPG(ロールプレイングゲーム)」です。
アバターは、無数のゲームで活用されていますが、よく知られているゲームとしては、次のような例が挙げられます。
<アバターを活用しているゲームの例>
- あつまれ どうぶつの森
- ロブロックス(Roblox)
- FINAL FANTASY
- モンスターハンター
数千人単位で同時に参加できる「MMORPG(マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロールプレイングゲーム)」においては、他のユーザーと交流する機会が多く、アバターはなくてはならない存在になっています。
さらに、自分だけのアバターを作成することが大きな楽しみとなっているゲームも生まれています。
そういったゲームは、「アバターゲーム」とも呼ばれています。
多くのゲームでは、目や鼻などの形・色から髪型・服装まで、無数の組み合わせで設定することが可能です。
アバター作りそのものが楽しめるゲームとしては、次のような例が挙げられます。
<アバター作成が重要な要素のゲームの例>
- Nicotto Town(ニコッとタウン)
- チョコットランド
- Ash Tale(アッシュテイル)
- ミトラスフィア-MITRASPHERE-
SNSのように交流できるゲームや、MMORPGに多く見られます。
SNS
アバターは、SNSにおいても、活用されています。
空間的な場で交流するタイプのSNSでは、3Dの動くアバターがよく使われます。
具体例としては、次のようなSNSサービスが挙げられます。
<3Dの動くアバターのSNS例>
- ピグパーティ
- サンリオキャラクターズ ハロースイートデイズ
- Nicotto Town(ニコッとタウン)
- cluster(クラスター)
「ピグパーティ」「サンリオキャラクターズ ハロースイートデイズ」は、どちらも自分だけのアバターや部屋を作って、アバター同士でチャットしたり、パーティーを開いたりして交流できるスマートフォン用アプリです。
「Nicotto Town(ニコッとタウン)」は、上記の「ゲーム」の項でも紹介しましたが、SNS的な交流の場として楽しむことができます。
メタバースのプラットフォームの一つである「cluster(クラスター)」は、ユーザー同士の交流の場としても利用でき、「バーチャルSNS」とも呼ばれています。
その他、TwitterやInstagramなど多くのSNSでは、2次元のアイコンの形でアバターが利用されています。
ビジネス
アバターは、ビジネスシーンにおいても利用されるようになっています。具体例としては、次のような場面が挙げられます。
- 仮想オフィス・バーチャル会議室
- トレーニング・研修
- 仮想店舗での接客
- イベントの開催
仮想オフィスについては、実際のオフィスよりもコミュニケーションが円滑になる可能性が指摘されており、一部で検証が進められています。
バーチャル会議室については、「一般的なWeb会議のツールよりも、実際の会議室に近い」という声があります。
ロールプレイングなど、社員のトレーニングや仮想現実での施設見学などにおいても、アバターが活用されています。
学習効果が高く、費用・時間のコストも削減できます。
https://www.rev-worlds.com/place/4
仮想店舗における接客は、三越伊勢丹のバーチャル店舗「三越伊勢丹 REV WORLDS(レヴ ワールズ)」などで行われています。
デジタル・リアルのどちらの商品も販売することができます。
また、アバターで参加するイベントを開催し、ビジネスにつなげることもできます。
例えば、BMWでは、モーターショーの先行イベントを行うなど、国内外でさまざまな音楽イベントも開催しています。
メタバース
急速に注目度が高まっている「メタバース」においても、アバターが活用されています。
メタバースとは、インターネット上にある3次元の仮想空間のことです。
他のユーザーと交流できるのが最大の特徴です。
メタバースの中にいる自分自身として、アバターを使用します。
アバターを通じてメタバースで体験することは、現実の人間の体験にかなり近づいてきています。
メタバースの中で、アバターが混み合うところを通り抜けるとき、「周りのアバターからの視線を感じた」という例もあるほどです。
メタバースは、「ビジネス」の項で触れたようなイベントの場としても利用されます。
バーチャル空間最大のマーケットフェスティバル「バーチャルマーケット」では、BEAMSが出展し、想定していた以上にデジタル商品が売れたということもありました。
アバターの作り方
アバターの作成は、アバター作成サービスを利用することで簡単にできます。アバター作成サービスとしては、以下のような例が挙げられます。
<アバター作成サービスの例>
- LINEアバター
- CHARAT(キャラット)
- VRoid Studio
- ZEPETO(ゼペット)
- AVATARIUM(アバタリウム)
「LINEアバター」「CHARAT」では、2次元のアバターを作成することができます。
LINEアバターは、写真を基に、2次元のキャラ画像を自動生成することができ、編集することも可能です。
CHARATは、パーツを組み合わせて2次元のアイコンを作成します。
デザインのテイストを選ぶこともできます。
「Vroid Studio」「ZEPETO」では、3Dのアバターを作成することができます。
Vroid Studioは、イラストを描くような感覚でオリジナルの3Dアバターを作成することができるサービスです。
ZEPETOは、写真から3Dのアバターを自動作成・カスタマイズすることが可能で、TikTokなどにもアバター動画を投稿することができます。
「AVATARIUM」は、スキャナーにはいり全身をスキャンすることで、自分をそのままアバター化することができます。
アプリ内でメイクアップやアイテム装備、ダンスを踊らせるなどの操作が可能。
現在新しい機能を追加したAVATARIUMのスキャナーの設置の準備が進められているそうです。
作成したアバターは、提携したメタバース内や、連携したゲームに入って遊ぶことができます。
今後提携したメタバースが増えていけば、遊び方や、ビジネスへの活用の幅が広がっていくでしょう。
アバターの今後の予測・展望
今後、アバターが利用される機会は、ますます増えていくと考えられます。
アバターを使うゲームやSNSなどは、すでに子どもたちの遊び場として確立されています。
もはやアバターは、子どもに限らず、若い世代にも一般的に浸透しています。
そして、今後は、ビジネスにも結びついていくことが予想されます。
例えば、アバター向けアイテムの販売などもそうです。
バーチャルスニーカー大手の「RTFKT(アーティファクト)」は、ナイキに買収されて話題になりました。
先述のBEAMSの例でも、リアル商品とともに3Dモデル商品が販売されていました。
アバター用のアイテムは、ビジネスチャンスの一つであるといえます。
さらに、今後は、ビジネス用アバター向けのアイテム販売においても、ニーズが高まる可能性があります。
アバター本体はもちろん、アバターが身に付けるアイテムにおいても、アバターの印象、ひいては、ビジネスの成否を決めるものとして重視されていくことでしょう。
今後は、「リアルをバーチャルで再現する」といった従来とのベクトルとは正反対に、「バーチャルが現実化される」といったことも予想されます。
バーチャルのグッズをリアルにおいても展開・販売することが販売促進の手段となっていく可能性があります。
そのため、バーチャルの進歩に合わせたリアルでの対応も必要となってくるでしょう。
インターネットの中に空間が再現され、その空間における交流が盛んになれば、アバターが使われる機会は、ますます増えていきます。
もしかすると、あなたのビジネスとアバターとの接点を探ることで、大きなビジネスチャンスが見つかるかもしれません。