声優起用プロモーション事例|マーケティングに「イケボ」を生かす!
声優起用プロモーション事例|マーケティングに「イケボ」を生かす!

アニメのキャラクターボイスや、外国映画の吹き替え、テレビやCMのナレーション、ラジオパーソナリティなど 声を使ったさまざまなシーンで活躍する声優。
「推し活」でも声優を推すファンは非常に多く、近年注目を集める「オタク消費」の中でも声優コンテンツは根強い人気を誇ります。

近年では、テレビのバラエティ番組やWEB広告、アニメの声の出演以外でも声優が起用されるシーンが増えてきています。
今回は、声優を起用したプロモーションの事例を挙げながら、その起用手法の特徴を解説していきたいと思います。

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声優を起用したプロモーションの特徴

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近年、タレントや俳優と同じように、人気アニメに出演する声優が、さまざまなメディアで取り上げられるようになってきました。
アニメのキャラクターに声を当てることで命を吹き込む声優業。
以前までは俳優に比べて裏方的な扱いの仕事で、そういった声優ファンもマニアックなアニメオタクや声優オタク、という印象が強く持たれていました。
しかし、日本人なら誰もが知る国民的アニメや社会現象にもなった大ヒットアニメが増えた2000年代以降は、アニメキャラの声を演じる声優への注目も高まり、演じたキャラクターではなく声優本人にファンが付くようになったのです。
今では、アイドルとしてステージで歌って踊る、タレントとしてバラエティ番組でトークを繰り広げる、など、声を使った仕事が基本の声優にも、多様なタレント性やスキルが求められるようになってきました。

声優市場は年々広がり続け、いわゆる「推し活」での主な「推し」対象でもあります。
人気トップクラスの声優にもなればアイドル、俳優に並ぶ人気を誇り、出演アニメのファンイベントだけにとどまらず、歌手としてのCDメジャーデビュー、朗読劇、トークショー、ミュージカル出演など活躍の場は多岐にわたります。
今後のトレンド市場でも期待を集める「推し活」を含めたオタク消費。
その中で、声優推し活は強いコンテンツのひとつとして注目されています。

近年では、そうした人気声優を起用したプロモーション企画が増えつつあります。
これらのプロモーションには

  • SNSを中心としたWEB上でのプロモーション
  • 既存のアニメキャラクターではなくオリジナルの登場人物
  • 声優固有の声や演技を活かした内容

といった特徴が挙げられます。

SNSを中心としたWEB上でのプロモーション

声優を起用し、声優のファンをターゲットにしたプロモーションを行うのは、ほとんどがTwitterやYouTubeを中心としたSNS上になります。声優ファンの情報収集とファン同士の交流の場所はTwitter、YouTubeが中心となります。
InstagramやTikTokでも情報収集はされていますが、やはり未だに、声優ジャンルでのメインメディアとなるのはTwitter。そして声優というコンテンツの性質上、「声」そのものを手軽に聴くことができ、自身でYouTubeチャンネルを開設して配信を行っている声優も多いことから、発信する動画メディアには今のところほとんどの場合でYouTubeが選ばれています。

既存のアニメキャラクターではなくオリジナルの登場人物

その声優が声を当てた既存のアニメキャラクターを使ったIPコラボのプロモーションとよく似ていますが、既存のキャラクターを介在させず、プロモーションする商品を擬人化したり、バックストーリーの登場人物の声を当てたりするのがここで紹介する「声優を起用したプロモーション」のポイントです。
キャラコラボのプロモーションの場合は、仮にキャラの声での出演があったとしても出演声優を前面に押すことはごく稀です。
逆にこの声優起用プロモーションでは、「あの声優の●●が」と、出演者として声優がクローズアップされます。
演じるキャラクターと切り離し、集客可能なタレントとして声優を起用しているところがポイントになります。

声優固有の声や演技を活かした内容

声優を起用したプロモーションでは、その声優自身の持ち味を活かした内容が求められます。
ある程度以上の知名度を持つ声優には、その人の声質や演技の特徴、一般的に抱かれているイメージがあります。(演じるキャラクターの傾向なども加味されます。)

  • 商品の擬人化での起用では、声優本人のキャラクター性、ギャグセンスを生かす
  • 商品を取り巻くバックストーリーでのキャスト起用では、声優の持つ声の特徴や声質(いわゆる良い声、イケボ)を活かす

声優本人の持ち味や、ファンが声優に求めるものを的確におさえたキャスティングをすることで、ファンからも「わかってる~」と思ってもらえるプロモーションになり、訴求力が一気に上がります。

例外として、声優や芸能の専門学校や社会人スクールなどで声優をプロモーション起用する場合は、上記のような声優の持ち味よりも、目指すものの象徴として声優本人のキャリアをクローズアップした内容のものも多く見かけます。(声優自身がその学校の出身である場合が多いケースです。)

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声優起用プロモーションの事例

上記で解説したような、声優を起用した特徴的なプロモーション企画には実際はどのようなケースがあるのでしょうか。
2019~2021年にかけてWEB・SNSを中心に展開された声優起用プロモーションの中から、印象に残った事例や、アプローチがちょっとユニークな内容のものを3事例、取り上げていきたいと思います。

オーディオテクニカ「Color of Life」

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出典元:https://www.audio-technica.co.jp/product/ATH-SQ1TW

オーディオ機器メーカー・オーディオテクニカによる、ワイヤレスイヤホンのプロモーション企画。
イヤホンにまつわる6つのストーリームービーが公開され、それぞれの映像で声優が声を当てています。
第一弾で、下野紘・天﨑滉平・伊藤美来・山下大輝・松岡禎丞・梅原裕一郎
第二弾では小野友樹・花守ゆみり・佐倉綾音・榎木淳弥・木村良平・古川慎
と、今話題の人気声優が計12人起用されたことで、声優ファンの間でも話題になりました。

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また、この商品自体が、今オタク消費マーケットの中心を担うキーワード「推し活」ニーズを想定しており、エンドユーザーが自分で「推し色」イヤホンを選べるように、6色のカラーバリエーションを展開しました。
商品のデザイン性と比較的リーズナブルな価格もあり、声優ファンでなくとも女性ターゲット層へも効果的な訴求ができたのではないかと考察します。

TOYOTA×CV部

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出典元:https://www.youtube.com/watch?v=sCIg6IG2Onc

自動車メーカーのトヨタと、さまざまなモノに声優がアテレコした動画で人気のYouTubeチャンネル「CV部」がコラボしたWEBプロモーションCM企画。
杉田智和、櫻井孝宏、福山潤の人気男性声優3名が出演した「カローラに恋して」では、カローラ、カローラツーリング、カローラスポーツの3車種のキャストボイスを担当。ヒロイン(人間)の前にカローラ3兄弟(自動車)が現れ、ヒロインを熱く口説く、恋愛シミュレーションゲームのようなストーリー。大手自動車メーカーのプロモーションとしては意表を突いたシュールでハイテンションな内容と、声優のイケボが相まって、リリースされた2019年12月に話題になりました。
その後、2020年8月には、江口拓也、斉藤壮馬、加藤英美里を起用した「グランエース編」もリリースされました。

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「CV部」 身近なものに人気声優が勝手にアテレコをするYouTubeチャンネル。人気声優を迎え、身近にある「アレ」に対して勝手に人格とキャラボイスをあててみる“疑人格化”プロジェクト。スポンサード企業とコラボすることも多く、さまざまなモノに声優がアテレコする面白動画が人気を博している。

ジョージア ジャパンクラフトマン「念願の仕事編」

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出典元:https://www.youtube.com/watch?v=E_vmKARxytU

こちらはちょっと起用の仕方が変わり種なアプローチのCM。
清涼飲料水メーカーのジョージアのコーヒー飲料CMで、女優の広瀬アリスが出演。あれ、声優の起用は?と思われるかもしれませんが、CMの内容に巧みな共感シナリオが仕込まれていました。
広瀬アリス扮する女性社員が、上司から次の仕事がアニメ関連だと知らされます。「大好きなアニメの仕事が来た!」と内心浮足立ちつつも冷静に対応。しかし上司から、起用される声優の「梅原裕一郎」の名前が出た瞬間、「ウソ!!どうしよう~!」と飛び上がって嬉しい悲鳴を上げてしまう…というストーリー。
実在する声優を出演させるのではなく、CM中のストーリーの話題として取り扱った内容でした。女優の広瀬アリスは、日ごろからオタクであることを公言しており、大のアニメファン、声優ファンであることも知られています。一方、梅原裕一郎は実力派のイケメン声優として声優ファンや俳優ファンの間で知られています。そんな広瀬アリスの演じたリアクションは「私も同じ立場なら同じリアクションしそう」と声優ファンの女性の共感を集めることができました。

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プロモーションにおける声優起用のポイント

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声優を起用したプロモーションのポイントは、ただ単に人気声優を起用してナレーションやアフレコで声を当ててもらう、という認識ではヒットにはなかなか結び付きにくいと思われます。
声優ファンが着目するのは、なぜこのプロモーションにこの声優を使っているのか、です。

ファンが求める声優の起用方法を見極める

  • その声優の「声質」と「演技力」を活かした内容
  • 声優の人物像やバックグラウンドも巧みに組み込んだもの
  • 声優ファンの気持ちを代弁した、共感を誘う構成

人気アニメの主人公声優だから起用するというケースは今までも数多くあり、これはアニメやキャラクターのイメージを最優先したい場合には効果的です。しかし声優ファンやコアなファンをターゲットにしたプロモーションでは、
「この企画、私の推し(声優)の良さを理解してくれている!」
「お、このプロモ企画、わかってるね~」
「これ面白いからみんな観て!」
などの、共感や賛同を得ることが重要になります。
共感を得た内容は、自分が良いと思ったものは、他人にも広く共有したい、という推し活でのオタク心理が働き ファンはSNSで積極的に情報をシェアしてくれます。これがプロモーション媒体をSNSにする強みでもあります。

「声」そのものを素材にした新たなサービス

プロモーション起用タレントとして声優の存在感が増す昨今。
ClubhouseやTwitterのスペース機能のように、音声のみでコミュニケーションを行うSNSツールの登場もあり、「声」「音声」に主軸を置いたサービスが、声優だけではなく、「声」そのものを素材として使えるサービスも登場しています。

CoeFont STUDIO(コエフォントスタジオ)

デジタルキャラクターや著名人の声でテキストの読み上げをさせることができるサービス「声フォント」。
自分の声を素材として登録し、「声」のフォントを公開できます。さらにクラウドサービスである「CoeFont Official」を利用すれば、声優や、気象予報士の森田正光、野球解説の藪恵壹などの著名人の声フォントを自分の作品に使うこともできます。

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出典元:https://coefont.studio/

クリエイター登録で使える「声のフォント」クラウドは、1000種類以上の声を自由に使うことができる新しい形の素材クラウドです。既存の写真画像や音源などを取り扱う素材サイトと同じように、YouTubeなどで公開する自分の映像作品などにも使用でき、ユーザーの使用回数ごとに元の声を登録したユーザーに使用料金が支払われるシステムになっています。

存在感を増す声優・声のマーケット

声優を起用したプロモーションをはじめ、今では音声SNSや音声素材クラウド、開発者や声を当てている人間の姿を一切見せないバーチャルキャラクターのVtuberなど、「声」そのものがより広い分野でコンテンツを担う重要なアイテムとして注目されるようになってきています。
声優がタレント顔負けの広告塔になり、だれもが声を素材として自由に使える時代。
そういったプロモーションのアプローチ方法も、より多様になってきています。
今後はますます、声優や声にまつわる効果的なプロモーションを様々なシーンで耳にする機会が増えていくでしょう。

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白峯アサコ

自分が最初に存在を知った声優さんは「ドラゴンボール」の孫悟空を演じた野沢雅子さん…ではなく、敵役のフリーザを演じた中尾隆聖さんです。なんとなく声が似てるなあとは思っていましたが、子供心に恐怖の対象だった宇宙の帝王フリーザと、「おかあさんといっしょ」のポロリと、「アンパンマン」のばいきんまんが全部同じ人がやってると知ったときの衝撃はすごかったです。

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