世界有数の災害大国である日本。
地震・台風・豪雨・火山活動そして新型コロナの世界的パンデミック。
近年、増える災害や非常時に対して防災意識は高まっています。

しかし、いつ来るかわからない非常時のために非常食や防災専用の備蓄品を揃えるのは一般家庭でも企業・施設でも意外と大変なこと。

そんな中で、今注目を集めているのが「フェーズフリー」という考え方と商品の在り方。
「備えない防災」と呼ばれる防災への新しい考え方と商品展開について、すでに展開がはじまっている事例とともに解説していきます。

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備えない防災の考え方「フェーズフリー」

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日常と非日常の時間(フェーズ)を切り離さず、非常時にも使えるものを日常に取り入れるのがフェーズフリーの考え方です。

震災・豪雨・火山活動、新型コロナの流行などの災害が頻発する昨今、防災意識の高まりから、この考え方が広がっています。 もしものときに備えておこうとしても、平常時から防災用品を備えておくことは、意識しないとなかなか難しいという人も多く、防災の定着が進まないことが懸念されていました。そこで、普段利用している商品やサービスを災害時にもそのまま使えるようにする「備えない防災」としてフェーズフリーの概念が注目されるようになってきたのです。

日用品・日常生活のプラス要素として、さまざまなマーケットにおいてもフェーズフリー商品の展開が増えつつあります。

「フェーズフリー」の概念

2018年に発足した一般社団法人フェーズフリー協会では、防災の専門家として活動を続けてきた佐藤唯行氏が2014年に「フェーズフリー」の概念を提唱した、と紹介しており、
“フェーズフリー(Phase Free)とは、平常時に利用されるすべての商品およびサービスが持つ、災害時に役立つ付加価値である”
と定義されています。

東日本大震災やその後の豪雨や大規模停電などでも非常時のさまざまな工夫や気づきが報じられ、ニュースやSNSでの投稿を通して、日用品が災害時にも役立つことが広く一般にも知られるようになりました。

防災専用のものではなく、災害時にも役立つ普段使いの日用品のことをフェーズフリー商品、と呼びます。
また、食料品やサービス、施設そのものにもフェーズフリーの考え方を取り入れる動きも見られるようになってきました。

いつ起きるかわからず、避けることも難しい災害。
こうしたフェーズフリーの商品やサービスが日常に浸透すれば、災害時もQOLができるだけ守られ、災害被害も低減できると考えられています。

フェーズフリーの定義

フェーズフリーを取り入れたモノやサービスがすでに増えつつあります。
それはフェーズフリーを銘打った新商品だけではなく、以前から使われていた日用品の再評価にもつながっています。

一般社団法人フェーズフリー協会では、フェーズフリーにあたるモノ・サービスの定義を以下の4つのカテゴリに分けています。

フェーズフリーのカテゴリ

  • カテゴリA 防災及び特定の職業・趣味などで日常的に利用している
  • カテゴリB 利用方法の提案によりフェーズフリーの価値を提供
  • カテゴリC 日常時も非常時も同じフェーズフリーの価値を提供
  • カテゴリD 日常時とは別に災害時に役立つフェーズフリーの価値を発揮

カテゴリA 防災及び特定の職業・趣味などで日常的に利用している

テントや寝袋、カセットコンロ、ヘルメット、LEDランタンなど、避難生活で利用できるが、特定の職業やアウトドア趣味を持つ人などはふだんから日常的に利用しているもの。

カテゴリB 利用方法の提案によりフェーズフリーの価値を提供

すでに存在している日常のモノやサービスに、非常時での利用方法を提案すること。フェーズフリー価値の提案。
水や保存食、トイレットペーパーのように買い置きしたストックを古いものから順に使って、減った分を買い足すローリングストック商品は、そのもの自体はフェーズフリー商品とはいえないが、利用方法によってフェーズフリーの提案をすることができる。

カテゴリC 日常時も非常時も同じフェーズフリーの価値を提供

普段使っているものを非常時もそのまま使えるもの。従来のボールペンでは濡れた紙や、上向きにして書くなどは難しいが、加圧ボールペンなど状況に影響されず書くことができるものはフェーズフリー商品として見なされる。
また、外国人観光客向けの外国語表記や翻訳サービスなども、災害時にそのまま避難の案内としても使えるようにすることでフェーズフリーの価値を持つことができる。

カテゴリD 日常時とは別に災害時に役立つフェーズフリーの価値を発揮

本来持つ基本機能が非常時に別の用途・機能でフェーズフリーの価値を発揮するもの。
バッテリーからの給電が可能で、エンジンを作動させれば発電機にもなる電気自動車とハイブリッドカーの特性を併せ持つプリウスPHVのように、非常時には別の働きができるものがこれに当たる。

フェーズフリー認証

出典元:https://cf.phasefree.net/

フェーズフリー商品の事例

ここからは、具体的にどんな商品がフェーズフリー商品として登場しているかを、フェーズフリー認証を受けた商品から事例を挙げて紹介していきましょう。

バッグにもバケツにもなる超撥水バッグ

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出典元:https://www.askul.co.jp/p/U585042/

いざというときは水も運べる超撥水生地のバッグ

バッグの表裏両面に超撥水生地を使用した、水に強いサブバッグ。雨に強い耐水性で、大容量の買い物バッグとして使えるだけではなく、非常時などは直接バッグに水を注いで運ぶこともできる、フェーズフリーのカテゴリDにあたる商品。
このバッグのリリース情報で「フェーズフリー」という言葉を知ったという人も多いのではないでしょうか。

濡れた紙にも書けるボールペン

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出典元:https://www.mpuni.co.jp/products/ballpoint_pens/ballpoint/powertank/standerd.html

加圧式で、上向きのものや、濡れた紙にも書けるボールペン

圧縮空気でインクを出す加圧式構造で、従来のペンでは難しかった、濡れた紙や天井など上向きのボードにも書くことができるボールペン。非常時も日常と変わらず使える点で、フェーズフリーのカテゴリCにあたる商品。

メジャー付き紙コップ

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非常時には計量カップにもなるレジャー用紙コップ

レジャーシーンでもおなじみの紙コップのデザインを計量に使える目盛りにすることで、フェーズフリー商品となるという事例。
目盛りにはml/㏄、合、カップなど様々な単位が入れられており、液体のほか、お米や、粉ミルクのための計量にも使える。
来客用のオフィスサプライやレジャー用品として使える紙コップが、非常時にはメジャーカップとして使える、フェーズフリーのカテゴリDにあたる商品。

組み合わせられる一人掛けロビーチェア

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出典元:https://www.kokuyo-furniture.co.jp/phasefree/product/solos.html

状況に合わせて組み合わせられる一人掛けチェア

ひとつずつ配置でもデザイン性の高いオフィスインテリアだが、複数個のスツールやチェアを組み合わせれば
長椅子や簡易ベッドなどにも使えるフェーズフリーなオフィス向け商品。非常時など状況に合わせて使えることを考慮し、表面にはメンテナンスしやすい素材と加工を施している。日常にも機能性が高いが、非常時も変わらず使えて、別のものとしても利用できる、フェーズフリーのカテゴリCやDにあたる商品。

防災LED付きモバイルバッテリー

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出典元:https://www.elecom.co.jp/products/DE-M21L-6700BK.html

磁石・フックも付いた多用途なモバイルバッテリー

スマホを2.2台分充電できるモバイルバッテリーであり、同時に45時間連続点灯が可能なLEDライト。
災害時には活躍することはもちろん、日常でもスマホの充電から動画撮影でのビデオライトの代わりまで、幅広く使える。
防塵防水仕様で、磁石・フック・1/4インチ穴もあるので、どこにでも掛けたり置いたりできるのも強み。フェーズフリーのカテゴリCにあたる商品。

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広がりを見せるフェーズフリー

一言にフェーズフリーと言っても、さまざまな側面から捉えることができるのがフェーズフリーなモノ・サービス。
ここまで、フェーズフリーな「モノ」としてフェーズフリー認証を得た商品を紹介してきました。そこから、文具、家具、生活用品、オフィスサプライなど、各業界の大手メーカーがこのフェーズフリーの動きに共感し、フェーズフリー商品の開発を進めていることがわかります。
フェーズフリーなサービスについても、公共施設や宿泊施設を中心に認証され始めている状況です。

防災意識や非常時への意識の高まり、昨今のアウトドアブームなどを踏まえてもフェーズフリーの考え方と、認証商品・サービスは今後広がりを見せることは間違いないでしょう。

そうした中で、これからのグッズ企画・開発で注目していきたいのが
「日常時も非常時も同じように使える(カテゴリーC)」
「非常時には別の役割を果たす(カテゴリーD)」

の観点です。

SNSでユーザー同士が情報交換を行っているような、実際の災害時に役立ったモノや体験などの情報収集もまた、今後のフェーズフリー商品の開発において重要なヒントになるかもしれません。

今回ご紹介した「フェーズフリー」の考え方を、商品や販促物、サービスなど貴社ビジネスに取り入れてみてはいかがでしょうか?

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白峯アサコ

家にある防災に使えるものを洗い出してみたところ、 カセットコンロ、バーナー、十徳ナイフ、のこぎり、LEDランタン、超大容量バッテリー、ホーローカップ、断熱シート、コンパス、ザイルなどが出てきました。
(アウトドア趣味は特ありません)
これでテントと寝袋を用意してしまえば、どこでも野営できる完璧装備になりそうです。

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