YouTubeやニコニコ動画をはじめとする動画投稿や配信が増え、個人でも動画制作を行うことが当たり前になってきた昨今。

企業でも個人クリエイターでも、配信するコンテンツ内でのナレーションやアナウンスを読み上げる「合成音声」への需要が高まってきています。

そんな合成音声を利用したクリエイター向けのtoCサービスや、企業のマーケティング・プロモーションに合成音声の活用を提案するtoBサービスの事例が増えてきています。

今回は合成音声を活用したサービス事例、合成音声を活用したマーケットの背景事情について解説していきます。

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「合成音声」とは?

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合成音声とは、ソフトウェアなどで生成した人工の音声のことを指します。
カーナビや音声ガイドなどで、日常的に耳にすることがある合成音声ですが、人間の声を元に生成するものと、コンピューターでゼロから人工的に生成するものがあります。

人間の声を元に生成された合成音声の代表的なものには初音ミクをはじめとするVOCALOID(ボーカロイド)やUTAUなどがあります。
初音ミクなどのVOCALOIDは、声優の声をサンプリングし、歌唱に特化したVOCALOIDのソフトウェア上で、その声を元にした音声を使ってさまざまな歌を歌わせることができるもの。
人間の声を元にした合成音声は、声優などの元の声の特徴を生かしながら、合成音声そのものに新たなキャラクター性を持たせることができるのが特徴です。
2010年代にはニコニコ動画をきっかけに、VOCALOID「初音ミク」を使った楽曲によって、合成音声技術が一般にも広く知られるようになりました。

また、人工的に生成された合成音声も、AI技術の進化により、文章の自動読み上げで難しかった抑揚やテンポの調整もできるようになってきています。
YouTube動画などではこうした合成音声による読み上げでナレーションを入れた解説動画なども非常に多く見られるようになりました。

こうした背景から、合成音声は以前よりも身近なものになりました。
個人の動画制作でも企業のプロモーション企画でも、合成音声を利用するシーンが増えてきています。

合成音声を使ったサービス事例

個人・法人ともに需要が増えつつある合成音声を利用したサービスには、個人向けのサービスプラットフォーム、法人向けの各種サービス・製品、とそれぞれの用途に合わせたものが登場しています。
ここでは、合成音声を利用した代表的なサービス事例を紹介していきます。

コエステーション

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出典元:https://coestation.jp/

toB、toCそれぞれに向けた合成音声利用サービス

エイベックスと東芝デジタルソリューションズによって設立された(株)コエステが提供するtoB,toCのサービスプラットフォームです。

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個人向けにはiOSで使えるアプリ「コエステーション」(略称:コエステ)を提供しています。これはユーザー本人の声をアプリを使って合成音声として生成し、文章の読み上げなどに利用できるサービスです。
利用度合いによって、ユーザ本人の特徴をAIが学習していき抑揚やテンポなど合成音声の精度をユーザー本人に近づけていくことができるのも大きな特徴。また、アプリ上にはSNS機能もあり、クラウドに登録している他のユーザーの「コエ」を適用させて合成音声を生成することもできます。
さらに、アプリとは別に、エイベックスのスタジオで収録した音声データを用いて、プロによる調整を入れた高品質な合成音声を作ることができる「デジタルボイス・プレミアム」というサービスもあります。

企業向けには、コエステーションの技術提供を行っています。
音声の声主(プロの声優や著名人など)をコエカタログから選び、コエステーションが仲介して利用することができます。企業・法人の利用では、自由に音声データの制作・編集ができる「エディター」ツールと、番組のリアルタイム読み上げやチャットボットの音声などに使える「Web API」ツールが提供されます。
また、この企業・法人向けサービスの実績の中には、コエステーションのAIによる合成音声を使ったテレビアニメ「れいぞうこのつけのすけ!」があります。また、コンビニプリントで購入・出力してQRコードを読み込むとタレントのメッセージが聴ける、音声機能付きブロマイド「コエ付きプリント」でもコエステーションが利用されています。

FutureVoice

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出典元:https://www.futurevoice.jp/lineup/futurevoice-actors/

人気声優の声も使えるtoB合成音声サービス

NTTテクノクロスと声優事務所が業務提携をし、プロ声優の声を合成音声として利用できるtoBサービス。

サービスに参加している人気声優の声を合成音声として利用できる「Future Voice Actors」と、ブラウザ上でテキストを読み上げさせ簡易的に合成音声を生成できる「Future Voice Cryayon Cloud」があるほか音声作成ができるチューニングツール、電話自動音声応答などに利用できる高速音声処理を行うサーバーシステムなど、企業のさまざまな案件に対応したサービスを提供しています。

このサービスに業務提携を行っている声優事務所からは、「鬼滅の刃」の主人公・竈門炭治郎の声などで知られる花江夏樹や、「ラブライブ!」の南ことり役として声優ユニットでもアイドル的な人気を誇る内田彩など、男女ともに幅広いファン層を持つ人気声優が合成音声ビジネスの声の主として参加しています。
ターゲット層に合わせた声優の声を合成音声として利用できることから、合成音声を活用したマーケティングの手段として注目されているようです。

CoeFont

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無料から利用できる、様々な声での読み上げサービス

声をフォントのように使える「コエフォント」サービス。3000種類以上の声のフォントを使って、文章読み上げや実況動画・Vtuberの声として利用できるサービス。
誰でも無料で利用できるほか、個人向けのライトプラン、ビジネスプラン、法人限定で高品質な合成音声を利用できるエンタープライズプランがあります。
アナウンサーや気象予報士、ナレーション声優、スポーツ選手、など様々な業界の実在の人物の声も合成音声として利用できるのが大きな特徴です。
また、Vtuberとしても活躍しているバーチャルアイドル「九条林檎」の声や、歌声合成ソフトUTAUに提供された女声UTAU音源「小春音アミ」など、他の合成音声サービスとは一味違ったラインナップを利用できるのも興味深いポイントです。

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合成音声を使ったマーケティング

事例で紹介したように、合成音声を利用したビジネスの幅は以前よりさらに広がっています。
家電やカーナビ、電話自動音声対応などへの利用のほか、企業のプロモーション、社内外へのプレゼンテーションなどでの合成音声による読み上げやアナウンスを利用する事例も増えてきています。

また、これまでと大きく違うのは、個人クリエイター向けの合成音声サービスが増えてきているということです。
個人クリエイター向けの合成音声作成ツールといえば、以前はVOCALOIDやUTAUのようなソフトウェアツールがほとんどで、ある程度音源編集や機材の知識がないと使いこなせないハイアマチュア・セミプロ向けのものでした。
ところが昨今、YouTubeなどでの動画制作やゲーム実況配信など、個人クリエイターの発信コンテンツが顕著に増えてきたことで、専門知識がなくても簡単に作成でき、処理スピードも速い合成音声による読み上げツールなどの需要が伸びてきました。

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声優を起用した新しいビジネス

先ほど事例で紹介したように、花江夏樹、内田彩、金田朋子など有名声優を起用したtoBでの合成音声サービスは、今までとは違った声優起用の形といえます。
声優のキャスティングといえば、アニメやゲームコンテンツの制作や、CM制作やキャンペーン製作で広告代理店が行うものでしたが、こうしたサービスを活用すれば、アニメや広告業界以外でのビジネスでも起用しやすくなるのではないでしょうか。
国民的人気アニメの出演声優、アイドル推し活をするようなコアなファンを持つ声優、子供向けキャラクターやマスコットなどの声で広い年齢層に親しまれる声優、それぞれのタレント性・人気傾向などをある程度把握しておけば、企画担当者自らで使い分けることができるでしょう。
また、生の声ではなく合成音声の声主としての起用であれば、声優のスケジュール調整にも左右されにくく、起用する側もされる側にもそれぞれにメリットがあると考えられます。

Vtuber起用の新しい形

すでにVtuberとしてYouTubeを中心に活動しているバーチャルキャラクター達の声を元に「コエアバター」としてコエステーションのエディター上で利用できる合成音声化するプロジェクトが始まっています。

活動中の Vtuber「黒須やひろ」「白銀モカ」は、合成音声製作のクラウドファインディングを募り、その目標金額を達成。
現在、コエステーションで使用できる「コエアバター」の製作が進められているそうです。
推しVuberの声を自分でも合成音声として使える、このコエアバターのプロジェクトは、VtuberなどのファンをターゲットにしたtoCビジネスとして、今後も展開が期待されています。

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YouTubeで女性向けシチュエーションボイスを配信している男性Vtuberの「白銀モカ」。コエアバターでの合成音声化で、女性ファン層への合成音声市場の認知を広げられるかが気になるところ。

オリジナルキャラクターの開発

人気声優、タレント、専門家、Vtuberなど、すでに存在する人物などの声を、一般ユーザー向けに合成音声化するプロジェクトのほかに、プラットフォーム側が製作するオリジナルキャラクターのプロジェクトも始まっています。

コエステーションが一般ユーザー向けに提供する「コエアバター」内で使えるオリジナルキャラクターとして発表した「蓮鬼ねむ」は、声優の佐伯伊織を起用し、人気イラストレーターが手掛けたキャラクタービジュアルとともに登場。
このオリジナルキャラクターの発表とともに「蓮鬼ねむ」のコエアバター製作のためのトークン発行型クラウドファインディングの募集を実施。先述したVtuberの「黒須やひろ」「白銀モカ」のコエアバターのように、今後一般ユーザー向けに展開をしていくだけではなく、オリジナルキャラクターを使ったマーケティングツールとして様々な展開・起用が行われていくと考えられます。

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声に女性声優を起用し、人気イラストレーターがキャラクターデザインを手掛けたコエステーションの合成音声オリジナルキャラクター「蓮鬼ねむ」。
キャラ自体のファンを獲得できれば、キャラ推し活ビジネスをも展開できる可能性を持っている。

音声に焦点を当てた市場の高まり

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ここまで紹介したように、合成音声によるビジネスが徐々に増えつつあります。
その背景の1つには、音声に焦点を当てた市場への需要が高まっていることが挙げられます。

Voicy(ボイシー)、clubhouse(クラブハウス)など音声配信プラットフォームが登場し、2021年にはTwitterにも音声のみで発信でき、
それを収益化することもできる「スペース」の機能が実装されました。
このほか、Spotify(スポティファイ)、Apple music(アップルミュージック)など音楽配信サービスでのpodcast(音声コンテンツ)の配信がさまざまなプラットフォーム上で行われています。
こうした配信を、ラジオを聴く感覚で楽しむユーザーが増え、配信するコンテンツの数が増えていくことで音声配信の市場はさらに広がりを見せています。

また、合成音声を使った市場の伸びには、自身の動画や配信で合成音声を利用したい、合成音声サービスに自分の声を売りたいそういった個人クリエイターたちのマーケット(クリエイターエコノミー)も密接に関係してきます。

一般ユーザーであり、発信する側でもあるアマチュアクリエイターの数は今後も増えていくと考えられます。
そんなクリエイターエコノミーの中で、合成音声ビジネスはさらに需要が高まっていくでしょう。

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ボーカロイド全盛期の当時、初音ミクたちボカロの特有の歌声に耳が慣れるまで時間がかかりました。
そのおかげか、最近は音声の自動読み上げを使ったYouTube上の解説動画などを視聴することにも抵抗がなくなりました。こうして合成音声を使ったモノがもっと生活に浸透していくのかもしれません。

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