お金の地産地消「デジタル地域通貨」|プラットフォームや具体的な取り組み事例
お金の地産地消「デジタル地域通貨」|プラットフォームや具体的な取り組み事例

キャッシュレス化が進み、普段の生活では何らかのデジタル決済をしているという人も多くなってきたのではないでしょうか。さらに今、日本でも大手都市銀行を始めとし、大手企業が円のデジタル化を進めています。そんな中、地域に利益が還元するシステムをつくる地域限定デジタル通貨が注目を集めています。その具体的な取り組み事例やそのプラットフォームもあわせてご紹介していきます。

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国のキャッシュレス化推進政策

様々な決済方法

日本のキャッシュレス化の現状

コロナ禍において、非接触で決済ができる手段としてキャッシュレス化が一気に進んだといわれています。
みなさんも日常で交通系アプリやクレジットカードなど、何らかのデジタル決済を使用しているのではないでしょうか。

現在日本ではキャッシュレスの普及率は約30%で、2010年の13%に比べると増加傾向にあるものの、韓国の94%、アメリカ47%などの他の国々と比べるとその足取りは遅いといわれています。
その理由として、加盟店が負担するカード使用手数料、電子マネーの種類が多すぎてわかりにくい、消費者がデジタル決済のメリットを見出しにくいといった点が挙げられます。

参照:https://www.smbc-card.com/kamei/magazine/knowledge/

円のデジタル化 DCJPY(仮称)の試用を進める日本の大企業

現在、日本では民間企業主導による「デジタル通貨フォーラム」が円のデジタル通貨の試験発行を始めると発表しており、早ければ2022年秋にも試用が開始されるといわれています。
この「デジタル通貨フォーラム」は、三菱UFJ銀行などの3メガバンクの他、ゆうちょ銀行、NTTグループ、セブン&アイホールディングスなど日本の大手企業約70社が参加している企業連合で、金融庁や日銀はオブザーバーという立場です。
円デジタル通貨DCJPY(仮称)は、日本円預金を裏付けに銀行が発行するもので、ユーザーは新たにデジタル通貨用の口座を開設した上でDCJPYを保有することができます。
企業がデジタル通貨の普及をめざす目的としては、大口送金のコストダウン、事務作業の正確性などが考えられます。

参照:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2432Z0U1A121C2000000/?unlock=1

自治体のキャッシュレス化を推進

このように民間企業が円のデジタル通貨流通を進める中、経済産業省は公共施設や行政のサービス窓口におけるデジタル決済の導入などのキャッシュレス化を推進しています。
キャッシュレス化は国を挙げて推進している対策でもあり、2025年6月までにデジタル決済比率を40%にまで上げることを目指すとしています。

参照:https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/cashless/index.html

デジタル地域通貨とは

様々な決済方法

デジタル地域通貨

一般的なデジタル通貨についてご紹介してきましたが、それではデジタル地域通貨はどのように異なるのでしょうか。
デジタル地域通貨とは特定の地域内で使用できる電子通貨で、一般的にはスマホ用アプリを使用して決済を行うものです。
プレミアムポイント(商品券)の付与など、チャージ金額に応じた優遇や特典を設けているしくみのものがほとんどです。

デジタル地域通貨を使用するメリット

2000年代、消費税増税に伴い約600の地方自治体が地域振興として商品券を配布しましたが、紙ベースということもありコスト高だったため、長期的に継続して使用することが難しいという結論に終わりました。
そこでいったんデジタル地域通貨の取り組みは下火となりましたが、近年になってスマホが普及しデジタル決済が可能になると再び注目されるようになりました。

デジタル地域通貨を使用することは、地域でお金を使うことによって地域内でお金を循環させる、地域経済の振興を図るというシステムをつくることです。
また、希薄になりつつあるといわれている地域の人とのコミュニケーションを活性化させるきっかけにもなります。
このような理由から、デジタル地域通貨は今改めて注目されています。

持続可能な地域経済活性化をめざす地域限定デジタル通貨の事例

さるぼぼコイン(岐阜県高山市)

さるぼぼコイン

引用元:https://www.hidashin.co.jp/coin/

全国でもデジタル地域通貨の成功例としてよく挙げられるのが「さるぼぼコイン」です。飛騨弁で「さるの赤ちゃん」という意味のさるぼぼコインは、高山市、飛騨市、白川村で使用できるデジタル地域通貨で、飛騨信用組合が発行主体となっています。
専用アプリをダウンロード後、飛騨信用組合の本・支店の窓口や大手ショッピングセンター内に設置しているチャージ機でチャージします。1コイン1円に相当し、各種加盟店で使うことができます。

せたがやPay(東京都世田谷区)

せたがやペイ

引用元:https://setagayapay.com/

東京都世田谷区のデジタル地域通貨「せたがやPay」。2022年2月で1周年を迎えたせたがやPayは、当初の加盟店数400店舗からスタートしましたが、2022年3月現在では約1900店舗で使用することができます。

また、世田谷区の区民健康村が設置されている群馬県川場村の一部でも利用可能です。

参照:https://setagaya.guide/life/life-info/setagaya-pay/

このように、デジタル地域通貨に注目する自治体は増えてきており、東京都渋谷区も区内の商店街や企業のさらなる活性化への支援と地域コミュニティ形成を目的としてデジタル地域通貨の導入を検討しているそうです。

参照:https://www.city.shibuya.tokyo.jp/assets/jigyosha/000062399.pdf

地域通貨プラットフォームサービス「chiica」

チーカ

引用元:https://chiica.jp/

専用アプリがなくとも、デジタル地域通貨を使用できるプラットフォームサービスが「chiica(チーカ)」です。
このchiicaでは、カードタイプでも利用できるのでスマホ操作が難しいという高齢者の方にも使いやすいサービスとなっています。
その他、バラバラに貯めていた地域のお店のポイントもひとつにまとめて貯められたり、ボランティアなどの自治体イベントに参加することでポイントが付与されたりといった特典があります。

デジタル地域通貨×スポーツチーム「ファントークン」

特定の地域内で使用できるデジタル地域通貨ですが、そのしくみをスポーツチームやファンマーケティングや地域ファンとのコミュニケーション活性化を目的とした「ファントークン」として活用している事例をご紹介します。

チームが発行するデジタル通貨(コイン)はスタジアム内の飲食店、グッズ店、スタジアム外の地域加盟店でデジタル決済ができるほか、保有しているコインをトークンに換えることでクラブ主催イベントへの参加権や、加盟店が発行するお得なクーポンと交換することができます。

ギラコイン(ギラヴァンツ北九州)

ギラコイン

引用元:https://www.giravanz.jp/

ホーリーコイン(水戸ホーリーホック)

ホーリーコイン

引用元:https://www.mito-hollyhock.net/fanzone/hollycoin/

FCコイン(福山シティFC)

エフシーコイン

引用元:https://fukuyama-city.com/3918/

ファンマーケティングツール「YELLtum(エールタム)」

エールタム

引用元:https://yelltum.fun/service/

ご紹介した3チームが使用しているファンマーケテイングツールが「YELLtum(エールタム)」です。
ユーザーがこのシステムを使うことによって、手数料の一部がチームに還元されるというしくみになっています。
サッカーチームのほか、ラクロスチーム、一般社団法人プロフェッショナルチアリーディング協会などがYELLtumを利用しています。

地域活性化を促す「お金の地産地消」

インターネットでのショッピングが普及した一方で、その利益は東京などの大都市や海外に流れていくという構図になり、地域にお金が落ちにくいというシステムになりつつあります。
地域でお金を使い、そのお金が地域を循環するデジタル地域通貨の流通は、お金の地産地消のしくみをもたらすきっかけになりえます。
今後デジタル地域通貨がますます普及・浸透していくためには、単なるキャッシュレス決済としてではなく、そのデジタル地域通貨を使うことによるメリット(ポイントの付与や交換商品など)を充実させていく必要があるでしょう。
日本各地で導入が広がっているデジタル地域通貨の今後の行方に注目です。

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