2025年に開催予定の大阪・関西万博(EXPO2025)。
大阪・関西万博の開催まであと3年となります。
SDGsへの取り組みも注目される大阪万博では、公式グッズにもサステナブル素材の導入がされていました。
大阪万博グッズから見えてくるサステナブル製品の近況とキャラクターグッズのマーケティングについて考察していきます。
大阪・関西万博2025のテーマ
出典元:https://www.expo2025.or.jp/
2025年4月13日~10月13日に開催される大阪・関西万博2025(EXPO2025)。
そのメインテーマは
「いのち輝く未来社会のデザイン」
サブテーマは
- Saving Lives(いのちを救う)
- Enpowering Lives(いのちに力を与える)
- Connecting Lives(いのちをつなぐ)
となっています。さらに下記のようなテーマ詳細が掲げられています。
-People's Living Lab- 未来社会の実験場
展示をみるだけでなく、世界80億人がアイデアを交換し、未来社会を「共創」(co-create)。
万博開催前から、世界中の課題やソリューションを共有できるオンラインプラットフォームを立ち上げ。
人類共通の課題解決に向け、先端技術など世界の英知を集め、新たなアイデアを創造・発信する場に。
「未来社会」を創造するためのさまざまな試みの発表の場とされています。
「いのち」と「未来社会の創造」をテーマに掲げて準備の進む大阪万博ですが、「持続可能な開発目標」であるSDGsはこのテーマと切っても切れない重要な要素です。 大阪万博では、SDGsの取り組みや技術開発のこれまでの成果や進捗が、色濃く反映された出展や演出が見られるのではないでしょうか。
万博のサステナブルグッズ
SDGsが開催テーマの骨子になっている大阪万博2025では、すでに販売中の公式グッズの中にもサステナブル素材を使ったものがあります。
- 残糸タオル
- サステナブルコットンタオル
- バンブーファイバータンブラー
- オーガニックコットントートバッグ
- 再生ポリエステル生地エコバッグ
- 再生PP樹脂クリアファイル
残糸タオル
タオルの製織過程で残ってしまう糸のことを残糸と呼びます。タオル製織の残糸を再利用して作った残糸タオルは、さまざまな製品用に染色や漂白された糸を織っているので、特有のカラフルな織が特徴。大阪万博グッズにもハンドタオルとして、鮮やかな残糸タオルが登場しています。
サステナブルコットンタオル
生産・製造工程の基準を満たしたサステナブルコットンを使用したハンドタオル。大阪万博のシンボルを織りでデザイン表現した、シンプルなライトブラウンでだれでも使いやすいデザインで、お土産や記念品としても使いやすそうです。
サステナブル・コットンとは?
コットンの原料である綿花の栽培には環境汚染・強制労働・児童労働などの社会問題があります。こうした問題の解消に向け「サステナブル・コットン」と呼ばれる持続可能な栽培方針に基づき生産されるコットンの使用を推進する動きが世界的に広がっています。日本では、日本国内の繊維産業を中心とする企業や団体で設立された「日本サステナブル・コットン・イニシアチブ(JSCI)」が日本国内企業がサステナブル・コットンを調達しやすくなるようガイドやサポートを行っています。
この、サステナブルコットンの中には「フェアトレードコットン」「ベターコットンイニシアチブ」「リサイクル・コットン」などの国際基準や認証スキームも含まれており、推奨されています。
参照元:
https://www.sustainablebrands.jp/news/jp/detail/1202701_1501.html
http://cottonupguide.org/ja/why-source-sustainable-cotton/what-is-sustainable-cotton/
バンブーファイバータンブラー
軽くて丈夫、原料が育つのが早いサステナブルな素材として注目されているバンブー(竹)の繊維を使ったタンブラー。バンブータンブラーは、竹の繊維を粉状にして使うことで、合成樹脂の使用量を減らすことができます。
オーガニックコットントートバッグ
ナチュラルな質感とライトベージュカラーのトートは、無漂白のオーガニックコットンを使用したもの。大阪万博グッズでは、トートバッグのほかにオーガニックコットンTシャツも販売しています。
再生ポリエステル生地エコバッグ
再生ポリエステル繊維を使ったエコバッグ。万博のロゴマークをあしらったインパクトのあるデザインで、真ん中のファスナーポケットに小さく収納できるタイプです。
再生PP樹脂クリアファイル
再生PP樹脂を使ったクリアファイル。中の書類が透けて見えにくい乳白色で、手触りもマットなタイプ。再生PPを使ったクリアファイルは、最もオーソドックスで、導入しやすいサステナブル素材グッズです。
「万博開催3年前」記念グッズ
大阪・関西万博開催3年前となった2022年3月~4月には「3年前カウントダウングッズ」が期間限定で発売されました。
開催の数年前にこうした形でグッズを販売するケースはあまり見ませんが、記念品・限定品としてもレアリティが高く、一部のグッズは早期に売り切れていたようです。
3YEARS TO GO 日本手ぬぐい
大阪・関西万博開催3年前を記念した日本手ぬぐい。薄手で柔らかい手触りが特徴の織生地「岡生地」を使用した綿100%の手ぬぐいで、日本手ぬぐい特有の端処理をしていない「裁ちきり」仕様。
手ぬぐいは、タオルやハンカチ、お弁当包みなどさまざまな日常シーンで使える、手軽だけど日本らしいグッズになります。
このほかにも、3年前記念グッズにはアクスタ、ピンバッジ、Tシャツなども展開されており「3 YEARS GO TO」の限定ロゴが使われています。
この中でも、限定ロゴの入ったアクリルスタンドとピンバッジは、近鉄の運営するオンラインショップ上ではすでに完売しています。
今年2022年しか使えないロゴのグッズというイベント限定感が、ついついグッズに手が伸びてしまう、という消費者意識をくすぐったのではないでしょうか。
こうしたカウントダウングッズの展開の仕方には、大阪万博らしさのにじむマーケティングにも思えます。
万博ロゴマークとキャラクターマーケティング
愛知万博のモリゾー&キッコロ、東京五輪のミライトワ&ソメイティ、北京五輪のビンドゥンドゥン…
オリンピックや万博などの大きなイベントに欠かせないのが公式キャラクター。
大阪万博の「いのちの輝き」をテーマにしたアイコンはその見た目のインパクトから、発表時はTwitterを中心に話題になりました。
まだ名前のないロゴマークと公式キャラクターもいつの間にか「いのちの輝きくん」という俗称が付き、ファンアート、造形フィギュアなどSNSユーザーたちがこぞって二次創作を披露し、さらに話題が広がりました。
マス広告をほとんど展開せず、ネット上での最小限の情報発信だけで「大阪万博のマスコット」としてしっかり人の記憶に残るSNSマーケティングができてしまった例といえるでしょう。
(※どこまでマーケティングとして狙っていたのかは不明です。)
勝手に名前がついた「いのちの輝きくん」
Twitterを中心としたSNS上では、万博ロゴマーク「いのちの輝き」が発表された時点から、激震が走りました。
その後、公式キャラクターが3候補出て、最終的に左のデザインに決定したのですが、まだ愛称が決まっていない時点ですでに「いのちの輝きくん」という俗称が広まっています。
正式な愛称は公募が行われ、現在は発表される前の段階ですが、最終的にどんな愛称に決定するのかとても気になるところです。
こうした公式キャラクターが人々の「推し」になることで、イベントや大会全体が注目されるようになるケースが増えてきています。
最近で印象に残ったのは、2022年2月の北京五輪マスコット「ビンドゥンドゥン(冰墩墩)」でしょう。
開催前にはほとんど注目されていなかったマスコットですが、日本テレビの辻岡義堂アナウンサーが現地レポートの傍らで、大量のグッズとともに自身がビンドゥンドゥン推しであることを熱烈にアピールしたことで中国国内では辻岡アナが「ギドゥンドゥン」と呼ばれ注目が集まり、一気に時の人となりました。
さらに中国国内の視聴者やネットユーザーも「ビンドゥンドゥンをそんなにかわいいと思っていなかったが日本の辻岡アナがあんなにファンになってるのを見たら、かわいいと思えてきた」などの声とともに中国国内でもマスコット人気が急上昇。グッズの品切れが続く大ブレイクが起きました。
日本でもそのニュースとともに、日本人選手とビンドゥンドゥンのツーショット写真、着ぐるみビンドゥンドゥンの面白動画などが大量に発信され、ビンドゥンドゥンファンが急増。中国国内でしか手に入らないビンドゥンドゥングッズは、メルカリなどのCtoCサービスや越境ECサイトで高値で取引されるような状態でした。
このケースは偶発に近い形ではありましたが、くまモンやふなっしーのようなゆるキャラやご当地キャラにはインパクトがある、いじりがいがある、などの要素があるように思えます。
すでにネットユーザーには良い意味でいじられている万博の公式キャラクターですが、これからどのように万博のマーケティングに活かしていけるのか、今あるグッズ以外にどんなグッズ展開を行っていくのか。そうした点も気になるところです。
開催までの大阪万博の注目すべき点
大阪万博が開催される3年後は、2025年。
日本におけるSDGsの取り組みも、今よりは進んでいると想定されています。
サステナビリティがまだまだ浸透したとは言えない現状で、各企業がこれからどのようにSDGsに向き合っていけるのか、それが見えるのが大阪万博のタイミングなのではないでしょうか。
また、今回のグッズに見られるように、サステナブル素材の導入状況も少しずつ変わっていくと思われます。
技術の進歩、環境の整備とともにサステナブル素材や取り組みがどのように広がっていくのか。
さらに、ロゴマークとマスコットを、大阪・関西万博は今後どのように活かしていくのか。
マーケティングや商品開発の点では、SDGsとキャラクターマーケティング両方の側面で今後3年間の万博の動きに注目しておきたいところです。
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白峯アサコ
個人的には、手足が生えた公式キャラクターのほうは、何度見ても、見るたびになぜか笑みがこぼれてしまいます。
あの笑顔(?)のせいでしょうか。