コロナ自粛の影響で、スマホアプリゲームの売り上げが世界的に伸びた2020から2021年。
その中で圧倒的な存在感を増しているのが、中国発のゲームタイトルです。
2020年にリリースされたばかりの「原神」は当初から世界で好調な売り上げを伸ばしていましたが、21年8月には並み居る人気タイトルや大手ゲームメーカーを抑え、ついに世界売り上げトップを記録しました。

「原神」に限らず、この数年でアプリゲーム売り上げ世界トップ10位内には日本・アメリカのタイトルを抑える形で中国産アプリゲームが伸びを見せています。
今年9月に開催された東京ゲームショウ2021でも中国ゲームメーカーの存在感は際立っていました。

今回は、そんな中国産ゲームの近況について解説していきます。

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日本・世界で人気の高い中国産アプリゲーム

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2021年夏、スマホアプリゲーム市場で「原神」が世界売り上げランキング1位を獲得したことで、ゲーム市場以外でもニュースになり、その注目度は一気に上がりました。
中国発の原神をはじめ、PUBG、王者栄耀、日本発のFGO、ウマ娘、アメリカ発のポケモンGOなどが世界総合でのアプリゲーム売り上げ上位10位内で拮抗しています。

その人気は、特に日本においては、単にゲーム課金による売り上げだけではなく、キャラクターグッズやイベントの展開などIPビジネスでも人気のあるコンテンツになっており、キャラクタービジネスにおいても無視できない存在感を持っています。
ここでは日本で人気のある中国ゲームの中から、特にキャラクタービジネス展開の目立つコンテンツ事例をいくつかご紹介していきます。

原神


上海のゲーム会社miHoYoが配信するオープンワールド型のアクションRPGゲーム。2020年9月に配信開始され、2021年夏には世界でのアプリゲーム売り上げのトップセールスを記録しました。
開発期間3年半、開発費100億円超えとも言われており、スマホのほかWindows、PS5などでもプレイ可能なゲームクオリティの高さはビデオゲーム市場でも注目されています。中国語版、日本語版、韓国語版、英語版、それぞれでゲームキャラボイスは各国の声優が担当しています。
日本ではリリース当初は男性ファンが多い印象でしたが、途中から女性人気の高い男性キャラの拡充もされたことで男女ともにファンが増え、日本でのアプリゲーム売り上げでも常に上位に食い込むようになってきました。

IdentityV 第五人格

中国のNetEase Games(ネットイーズゲームズ)が2018年より配信しているサバイバルホラーゲーム。
日本ではアプリ版のほか、DMM GAMESが配信するウィンドウズ版も配信されています。中国版では中国の声優による中国語音声、日本語版では日本の声優が吹き替えを行っています。
日本では女性を中心にダークな世界観とキャラクターの人気が高く、ファン層の親和性が高い映画「シザーハンズ」や漫画「DEATH NOTE」「約束のネバーランド」などの他コンテンツとのゲーム内コラボイベントも頻繁に行われており、2度にわたって舞台化もされています。

アズールレーン

中国のマンジュウとヨンシーが共同開発し、動画共有サービスbilebiliが配信する育成シミュレーション・シューティングゲーム。日本では株式会社Yostarが2017年より配信開始。日本や世界の有名な戦艦などを美少女キャラに擬人化したキャラクターで「アズレン」の略称で親しまれています。中国と日本でのローカライズを前提にし、キャラボイスは日本の声優を起用した日本語音声で「中国製日系ゲーム」とも言われています。日本、中国、アジアを中心にファンのいるコンテンツです。

アークナイツ

上海のゲーム開発会社Hypergryphが配信、日本では先述の株式会社Yostarが配信しています。
2019年5月に中国版が先行で配信開始し、日本をはじめとするグローバル版の配信はその約8か月後2020年1月からでしたが、ゲーム内のキャラクターボイスは中国版も全て日本の声優による日本語音声で収録されています。
こういった、日本の声優を起用した日本語音声のゲームが中国で先行でローンチされるケースは、他にネットイースゲームズの「陰陽師 本格幻想」などでも見られます。

あんさんぶるスターズ!!

北京に本社を置くアプリゲーム会社Happy Elementsによる女性向けアイドル育成ゲーム。
日本版アプリの配信は日本法人が行っています。2015年より配信開始し、2020年3月には「あんさんぶるスターズ!!」にリニューアルされ、ゲーム内容がさらに拡充されました。
こちらも中国版を含め、キャラボイスは全て日本の声優による日本語音声で収録されており、日本国内のリアルイベントや公式放送では担当声優が出演し、ファン層の拡大に一役買っています。アニメ、コミカライズ、2.5次元舞台化などメディアミックスも幅広く行っており、日本の女性向けゲーム・キャラクターコンテンツ市場で高い人気を誇っています。

中国と世界ではトップセールスを記録し、登録者数が2億人を超えるアプリゲームで、テンセントが配信する「王者栄耀」があります。こちらは、中国以外に向けたグローバル版「-Arena of Valor-」と、DeNAが配信しているその日本語版「伝説対決 -Arena of Valor-」がありますが、日本国内でのアプリゲーム売り上げランキングでは10位以内にはほとんど入ってきていません。

このほか、YouTubeなどでプレイ実況でも扱われることの多いNetEase Gamesのアクションゲーム「荒野行動」や、株式会社ポケモンとテンセントが共同開発したポケモンシリーズのバトルゲーム「ポケモンユナイト」など、広い世代でプレイされている中国産ゲームや中国メーカーとの共同開発ゲームが数多く存在します。

アプリゲームの月間売り上げを見るときの注意点

アプリゲームの売り上げランキングは、さまざまなゲーム情報サイトなどで紹介されています。
これらのサイトでは、ゲームを含めたスマホアプリの月間売上のレポート記事が毎月上がっています。
ただし、この売り上げランキングをチェックするときには少し注意点があります。
特定のアプリゲームを恒常的にプレイしている、もしくは課金をしたことがある人ならピンと来るかと思いますが
どのゲームでも共通して、アプリ内でのイベント、季節柄に売り上げが左右されやすいのです。
特に、日本で展開している人気アプリゲームでは、夏休み時期にあたる8月9月、年末年始の12月1月は夏イベ、クリスマスイベ、お年玉ピックアップなど、ログインボーナスやレアカード排出率アップなどの施策が組まれるゲーム内特別イベントが開催されるので、ほかの時期に比べて売り上げが跳ね上がりやすくなっています。

今回取り上げている「原神」も、9月にはゲーム内イベントが開催された影響で日本国内の売り上げが上がりましたが10月になると、ウマ娘やハロウィンイベントを開催したFGOなど、他の人気タイトルに大きく差を付けられる結果になっています。
急激に伸びを見せ、トップ3に入っていたのに次月には10位前後まで下がるタイトルも多く見かけます。
それらの事情にも少し留意しておくと、よりアプリゲーム市場での人気の流れが見えてくるでしょう。

日本での中国ゲーム人気事情

元々、ゲームといえば日本発のゲームタイトルが世界を牽引していた日本のゲーム市場。気付けばその様相はこの10年でガラリと変わってきました。

90年代から2000年代初めまでは家庭用ビデオゲームと言えば、日本の任天堂のファミコンやSCEのプレイステーションなどのプラットフォームとともにセガ、カプコン、スクウェアエニックス、コナミなどのゲームメーカーのタイトルが世界を席巻していました。2000年代頃からは、PCを使ったWindowsプラットフォームのオンラインゲームも登場します。オンラインゲーム人気の高いアメリカや韓国のゲームメーカーも、そのころから日本と並んで台頭するようになりました。
しかし、ゲームだけでなくゲームキャラクターを活かしたイベントやグッズ展開を行うキャラクタービジネスやメディアミックス展開の面では、魅力的なキャラクターや世界観、深みのあるシナリオが特徴の日本のゲームが常にリードしてきたと言えます。
そんな中で、この10年で徐々に存在感を増していったのが、中国のゲームメーカーによるタイトルです。
中国ゲームはいったいいつから、どのようにして日本で展開されるようになり、その人気に火が付いたのでしょうか。

声優、楽曲、世界観、「中国産日系ゲーム」展開の成功

中国のゲームメーカーが中国国内と日本や世界に向けて配信するゲームの中には、先ほど紹介した中国ゲームの中でも触れたように「中国産日系ゲーム」と言われるものがあります。

  • 日本人声優による日本語音声のキャラクターボイスを使用
  • キャラクターデザイン、ゲーム開発、音楽に日本人クリエイターを起用
  • 中国のゲームメーカーであることをあまり前面に出さず、ゲームタイトルを前面に出す

2015年頃から日本で配信された中国ゲームには、上記のような特徴がありました。これらは「あんさんぶるスターズ」「アズールレーン」「陰陽師 本格幻想」「崩壊学園」などが当てはまります。テレビCMなどでこれらのゲームを見かけたとしても、日本のゲームとの違いが全く分からない人も多いでしょう。
無料でもプレイできるもののアプリ内課金をするユーザーが多いアプリゲームでは、中国アプリゲームに対して、自身の個人情報やクレジットカード情報が流出する恐れはないか、という警戒心や忌避感を持つ日本のユーザーも少なからずいました。
そういった感情もある中で、中国ゲームメーカーが日本でゲームをプレイしてファンになってもらうためには、上記のような「日本流」のゲームを推し出し、自社のゲーム自体の面白さを知ってもらう必要があったでしょう。
実際、日本の既存のゲームに引けを取らないクオリティのゲームをどんどん展開することで、数年で日本での中国ゲームファンを獲得することができました。
この戦略は、日本のユーザーだけではなく、日本のゲームやアニメ、声優ファンが多い中国ユーザーに対しても訴求力があったようです。(日本の声優で日本語音声のゲームでは現地中国のユーザーは違和感はないのか? と思ってしまいますが、もともと以前から日本や海外のアニメやゲームを中国語字幕で楽しむ機会の多かった中国のゲームユーザーたちにとって、日本の人気声優にも親しみがあり、ゲーム自体が面白ければ言語はあまり大きな障壁ではなかったようです。)

こうして数年で、日本のゲームユーザーに中国ゲームのファンが増えていったのです。
こうした日本での展開が成功し、最近では中国のゲームメーカーによるゲームに対する日本ユーザーの印象は以前より好意的なものになりつつあります。

そしてこの2年ほどで、中国ゲームは、日本だけではなく、世界でも高い評価を得るようになってきました。
以前は「日本風ゲーム」として中国版・グローバル版全てで日本人声優を起用したゲームが多く見られましたが、最近配信を開始した中国ゲームの多くは、キャラボイスを中国語版では中国の声優、日本語版では日本の声優、英語版では英語圏の声優、と各国でローカライズする際に吹き替えを行う形に切り替わってきています。

中国のゲーム規制でどんな影響が出るのか

中国ゲーム、原神、アプリゲーム、オタク消費、推し活、オリジナルグッズ,企画,製作

さらに勢いを増し、世界中の注目が集まるようになった中国ゲーム産業ですが、2021年夏ごろから、中国当局によって、コンテンツやゲームを提供する中国の大企業などに対する規制の強化が報じられました。
過度の課金やゲーム依存といった中国国内での社会問題を背景にしている部分もありますが、アニメ・ゲーム・芸能といった中国のあらゆるエンタメ業界が大きな影響を受けています。
中国国内に限らず今後の世界のエンタメ市場にも影響があるのでは、と世界中でその規制の影響が懸念されています。
今後、中国ゲーム市場は日本や世界においてどうなっていくのでしょうか。

厳しい配信審査や規制…中国ゲームとの付き合い方

アプリゲームの国内配信の審査が非常に厳しいと言われている中国では、中国国内のゲームメーカーも、外国のゲームメーカーもそれぞれ中国でのサービス展開で苦心していると言われています。
中国で今進んでいるゲーム規制が日本国内での中国ゲーム人気に今のところ直接的な影響を与えるわけではなさそうです。

しかしながら、配信が突然終了するコンテンツが出てくるなど、多少の影響はあるようです。TwitterなどSNSでもたびたび話題に上り、多くのゲームユーザーやコンテンツのファンが意見を交わしています。多くのユーザーは残念がったり、疑問を投げかけたりしている様子は見かけますが、そういうこともあるのが中国ゲーム・中国コンテンツだ、と冷静に受け止めながら引き続きゲームを楽しんでいるようです。
(そういった事情や表現規制にほとんど左右されない日本のエンタメの良さを再認識するユーザーも多くいます。)

中国国内でゲームや表現規への制は強化されたものの、日本で展開されている中国ゲーム・中国アニメの多くは、変わらず展開が続いています。男性ファンが多い中国ゲームに対し、全く違うアプローチで日本で認知度が上がっている中国アニメ・中国ドラマには女性ファンが多くいます。
中国ゲームも中国アニメも、日本国内では日本独自のIPビジネス展開が広がっており、そのコンテンツ自体の面白さや魅力がある限りは、日本での展開は今後もあまり変わらず続くのではないかと考えられます。

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数年前、友人に勧められて某女性向けアプリゲームをのんびりプレイしていました。たまたまそのゲームの開発会社を調べた時に初めて、それが中国の会社のもので、日本法人が日本で配信しているものだったと知って、とても驚いたものです。
日本の声優による日本語フルボイスの日本の女性向けアプリゲームは他にもいくつかありましたが、どれともほとんど遜色なく、「なんか外国のゲームっぽい」と感じるところが一切なかったからです。

あれから5年以上経ち、今ゲーム業界を眺めていると、ちょっと隔世の感もあったりします。

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