古代の日本から伝わる伝統的な草木染め。サステナブルな素材が注目を集める現在、今改めてクローズアップされています。
とはいえ、普段私たちの周りにあるもののほとんどはまだ合成染料が使われています。
天然素材ならではの風合いや環境にもやさしい草木染めは、ひとつひとつ丁寧に染めていくのも特徴です。
大量生産ではなく、個を大切にするこれからの時代にぴったりともいえますね。
草木染めとは
草木染めとは化学(合成)染料を使用した染色方法に対して、果実や植物などの天然染料を使った染め方のことをいいます。
まずは具体的な染め方や特徴について詳しく見ていきましょう。
草木染めの方法
草木を煮出してつくった液に浸して布や糸などを染めていきます。この草木を抽出した液だけだと完全には染まりにくいため、植物の色素が反応しやすい金属成分を含んだ液体(媒染液)に浸けることで、色をより鮮やかにし定着させることができます。媒染にはミョウバン(アルミ)や鉄を使用するのが一般的。
色合いも自然由来のやさしい雰囲気が特徴です。
草木染めの魅力
経年変化で味が出る
化学染料と違って草木染めならではの楽しみ方のひとつに「経年変化で味が出る」というのがあります。
時間とともに深みが増すことで、より味のある色合いを楽しめます。
使っている人やそのアイテムによっては一部の色が白っぽく使い込んだ雰囲気が出たり、逆に渋みが出たりして落ち着いた印象になることも。
どんな色合いが出るのかは、使い方やその人次第で未知数です!
個々の色合いを楽しめる
化学染料は同じものを大量生産することに向いていますが、草木染めはひとつひとつの個性を楽しむことができます。
同じ材料で染めたとしても、採取した季節が違えばその色味も少しずつ変わってきます。
もちろん浸けておく時間を変えれば、その濃淡も変化します。
つまり、まったく同じものは二つとない「唯一無二」のもの!
今、時代はピラミッド型の組織体制から個々人の持つ得意分野を活かした社会へと変化しつつあるといいます。
草木染めはこれからの時代にぴったりのアイテムだといえるかもしれません。
染料になる植物の種類
桜
日本人に大人気の桜。やさしい雰囲気の淡いピンクは見ているだけで癒されますね。
この淡いニュアンスのある美しいさくら色を出すことはとても難しいそう。
淡いピンクは花びらを彷彿とさせますが、実は染色に使用するのは花が咲く前の小枝や樹脂です。
小枝を何度も天日干ししたり、繰り返し煮出したりすることであの淡いピンク色がやっと再現できるそうです。
桜のあの柔らかい雰囲気は草木染めでこそ味わえるものなのですね。
藍
草木染めといえば藍染めを連想するくらい、とてもポピュラーな素材。
江戸時代には庶民の色と呼ばれるほど、人々にも広く愛された色だそうです。
藍染めの歴史は古く、なんと古代エジプトにまで遡ります。あの有名な少年王ツタンカーメンが身に着けていたというから驚きですね。日本へは奈良時代に中国から伝わってきたといわれています。
この藍色の美しく深みのある色は、海外から「ジャパンブルー」という愛称で親しまれています。
よもぎ
よもぎは草餅にして食べても美味しい植物ですが、草木染めにすると暖かみのある黄色の染料になります。
よもぎは4~5月頃にかけて採ることができますが、その時期の違いによって色合いが変わるのも魅力です。さらに媒染液によってグレーから山吹色に近いイエローまで幅広いバリエーションが特徴。
コーヒー
近年SNSでも話題の染色素材がコーヒー。
コーヒーを味わった後の残りを使って染められることから「二度おいしい」使い方ができるとして注目を集めています。
他の材料に比べて比較的簡単に染められる点も草木染めビギナーには良さそうです。
うっかりTシャツにコーヒーのしみが付いちゃった~(泣)という方はこの際コーヒー染めにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。アンティーク風の色合いが出せるのも魅力です。
たまねぎ
今もっともアツい草木染めの素材は、皆さんおなじみのたまねぎです。
コーヒーと同様、身近にあり、すぐに用意できることから人気を集めているようです。
たまねぎの場合は3~4個分の皮でわりとしっかりとした色合いを出すことができるので、手軽に家庭で草木染めを楽しむのにぴったりな素材です。
地球にもヒトにもやさしい草木染め
自然の果実や植物から抽出した色素を使う草木染めは、地球にもヒトにもやさしい染色方法なのです。
地球環境を考えた排水処理(自然回帰)
昨今、環境汚染が極めて深刻になっていますが、その中の一つが水質汚染です。
化学染料を使用した後の水の処理も大きな問題となっています。
草木染めは自然から採った染料のため、地球環境を改善できる方法のひとつでしょう。
草木染めで使用するポピュラーな媒染液の中にはミョウバン(アルミ)などもあるので、ろ過して廃棄するとより地球にやさしくなれます。
人体への悪影響が少ない
化学染料はたくさんの衣料を一度に染めることができ色落ちしにくいというメリットがありますが、実は人体に良くない成分が含まれているのをご存じですか?
社会的に注目されるようになったのは、2015年に化学工場で働く人たちが相次いでがんを発症してからです。
化学染料の一部である成分が人体に悪影響を及ぼす可能性があるのだとか。
(参照:https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG18HB0_Y5A211C1CR8000/)
その点、草木染めは素材として使用する植物が自然に由来していることや食べ物としても取り入れられるものも多いので、人体への悪影響は極めて少ないといえますね。
草木染めアイテムいろいろ
一般的に草木染めアイテムとしてどのようなものがあるのでしょうか。
筆者が気になった草木染め商品をいくつかピックアップしてみました。
マスク
草木染めマスク
今や毎日の生活に欠かせなくなったマスク。草木染めの柔らかな色合いがリラックス効果を高めてくれそう。
ハンドタオル
草木染めハンドタオル
毎日肌に触れるものが草木染めだと安心して使えますね。
ポーチ
草木染めポーチ
いくつあってもなぜか集めてしまいがちなポーチ。
バッグから取り出すたびに草木染めならではの表情の豊かさが楽しめそう。
草木染めオリジナル商品例
草木染めでどんなアイテムを作るのがベストなのか悩む!という方におすすめアイテムをピックアップしてみました。
メインとしてもサブとしても幅広く使えるバッグタイプがオススメです。
ショルダーバッグ
カジュアルなシーンで大活躍しそうなショルダーバッグ。
普段、荷物が多いという方でも両手がふさがらないショルダータイプは実用性も兼ね備えていて◎
サイドにポケットがついた縦長タイプ
間口が広くて出し入れしやすい横長タイプ
巾着バッグ
バッグの中でカオス化する小物たちをひとつにまとめたり、毎日使う必須アイテムを常備しておいたり・・・と巾着バッグの使い道は無限大です。
サイズも大小いろいろ選べます!
トートバッグ
トートバッグはバッグの中でも使い勝手のよさで大人気のアイテム。使わないときはたたんでコンパクトに収納できます。
手持ちタイプでランチのお供にもちょうど良いサイズ
肩掛け可能なマチ付きの大容量でマルチに使えます
サステナブルな素材を使った商品開発へ
2015年にSDGsが掲げられてからは、地球環境に危機感を持つ世界中の多くの企業が経営戦略に取り込んできました。
地球環境の良化に取り組む等の社会貢献は、今や企業としての価値を評価するほど重要な位置を占めています。
企業の取り組みをわかりやすく表現できる手段のひとつとして、地球環境に配慮したサステナブルな素材を使ったグッズをラインナップに入れてみるのはいかがでしょうか。