2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大から緊急事態宣言が出され、外出制限・イベントの中止や自粛などを余儀なくされました。企業のプロモーションにおいても、例年通り実施するというわけにはいかない一年となりましたね。
しかし、そんな中でも苦しい状況を乗り越えるために人々を元気づけるようなプロモーションがありました。
今回は、トランス社内のプランナーたちに、ウィズコロナで興味深いと感じたプロモーションやキャンペーンの実例を挙げてもらいました。
さらに、アフターコロナと呼ばれる、これからの時代に響くプロモーションとはどんなものがいいのかを推察して考えていきます。
トランス社内のプランナーが興味深いと感じたプロモーション事例
プロモーション企画のプランニングに携わる、トランス社内のプランナーたちがウィズコロナで個人的に興味深いと感じたプロモーション事例を挙げてもらい、どうしてそう感じられたのかを考察してもらいました。
プランナーKさんが選ぶ
【スマートフォンアプリ 『ポッキー花火!』】プロモーション
夏のおうち時間がもっと楽しく!「ポッキー」が花火になる!?
スマートフォンアプリ 『ポッキー花火!』
https://www.glico.com/assets/files/NR20200812.pdf
実施時期2020年8月~10月
コロナ禍で花火大会が相次ぎ中止となり、おうちでも花火楽しんで!というメッセージで提供されたアプリですね。スマホでARアプリを使ってポッキーを写すと、ポッキーが打ち上げ花火や線香花火になって見える、というもの。一人でも、家族とでも楽しめて、離れている友達ともメッセージ動画をSNSにアップしながら一緒に楽しめました。
― 直接なにかの特典がもらえるわけではなくても、アプリで写真を撮って遊べて、離れた友達とちょっと楽しい気分を共有できるのって、結果的に購入意欲のきっかけになることもありますよね。
夏の風物詩が見られない寂しさを埋めてくれるような内容と、ポッキーがトリガーになりARが出現するという面白さで、私もポッキーを思わず手に取ってしまいましたね!ウィズコロナで、物理的な人との距離ができてしまったことで、改めて人とのつながりが大切に思われる時代になりました。みんなで盛り上がれるソーシャルディスタンスなキャンペーンが求められていることを実感しました。
プランナーSさんが選ぶ
【メルシャンスパークリングワイン 泡で笑顔に、最高のカンパイを!】プロモーション
メルシャンスパークリングワイン 泡で笑顔に、最高のカンパイを!
https://www.kirin.co.jp/products/wine/sparkling/
実施時期:2020年11月~2021年1月
メルシャンのスパークリングワインとライフスタイルショップのunicoがコラボしたレシートキャンペーンでした。スパークリングワインのレシートで応募して抽選でunicoデザインのワイングラス&プレート&カトラリーセット「おうちカンパイセット」が当たる、というもの。
― ウィズコロナでのおうち時間、家呑みタイムが増えて、家具や食器などのインテリアに意識が向く人が増えたので、そういう需要に応える形になったんでしょうか。
メルシャンとunicoの担当者さん同士がインタビューを受け合うPRイベントも実施しているのですが、単に「コロナ禍でのストレスをスパークリングワインで明るくしよう」という商品自体のアピールだけではなく、よりリラックスできる心地よい暮らしを提供する、というどんな空間だったらみんなが華やかな気分になれるかに重きを置いた観点が、共感ポイントだったかと思います。飲料メーカーとライフスタイルショップの異業種コラボレーションということで、ユニークに感じられて反響につながった部分もあると思いました。
プランナーIさんが選ぶ
【NOLTY「白紙から立ち上がろう、ともに。」】プロモーション
NOLTY プロモーション動画「白紙から立ち上がれ」
https://nolty.jp/gallery/
Twitter 寄付企画
https://www.jmam.co.jp/topics/1265356_1893.html
実施時期:2020年11月~2021年1月
メッセージ動画「白紙から、立ち上がれ」は、Instagramでフォローしていた、人気クリエーターpantoviscoさんの投稿で知りました。手帳ブランド能率手帳によるプロモーション動画とTwitterで医療従事者への寄付を募る企画でした。動画自体の映像表現力が高く、消費者の意識に響くなと感じました。
手帳に書かれたスケジュールを消しゴムで消していく映像で、コロナによる自粛やイベント中止で「白紙になってしまった予定とその寂しさ悔しさ」と「書くことで未来は始まるという強い意志」を表現したメッセージ動画に、個人的にハッとさせられましたね。
― 動画でメッセージを伝えるには、表現力や感受性のアンテナも必要になりそうですね。
手帳に手書きしていく機会が上の世代より少ないデジタルネイティブのZ世代には、紙のノートに予定を書き込むことや、文字を消すというアナログな行為そのものが特別な体験を表現していると感じられます。メッセージ動画では、デジタルでは体験できない「消えた予定」「これからの予定」の存在を五感で感じることができる、紙のノートならではの情緒的な価値が上手に表現されていると思いました。手帳ブランドにとってもターゲット層の掘り起こしのきっかけになったのではないかと思います。
― RT数に応じた寄付キャンペーン(「白紙から立ち上がろう、ともに。」)も行ってましたね。
コロナ禍で前線に立つ医療従事者への寄付金RTキャンペーンも同時に行っていましたが、視聴者の心に響く動画で、先の見えない現状を少しでも良くするために「自分もなにか行動したい」、「RTシェアするくらいならできる」、という意識に働きかけたのだと思いました。この「その場でできる気軽な社会貢献」によって消費者充実感、達成感を満たすことにもつながっていますね。メッセージ動画と寄付金キャンペーンはともに「コロナ禍ならではの繊細な消費の共感づくり」が上手だなと思うプロモーションでした。
事例から見える、ウィズコロナでの消費者意識
プランナーたちが印象に残ったと挙げた2020年の夏~2021年年始のキャンペーン事例。
2020年6月に緊急事態宣言が解除されましたが、依然としてコロナ禍の先が見えない状況で突入した2020年下半期は、プロモーションもSNSやアプリを活用したキャンペーンが多く見られました。
その多くには、「少しでも楽しく生活しよう」「がんばっている人たちを励まそう」「先が見えないからこそ、先を見据えよう」というメッセージ性が含まれており、それが消費者の共感を呼んだのでしょう。
2020年のプロモーションでは
- おうち時間増加による、インテリアやQOLの向上
- ソーシャルディスタンスを保ちながら楽しめるものへのニーズ
- 人とつながっていたい意識、つながっている実感
- 募金・ボランティアへの関心
このような消費者の意識を汲んだものが多く見られました。
では、これから先はどのようなプロモーションがより効果的なのかを考えていきましょう。
アフターコロナで効果のあるプロモーションとは
アフターコロナではどんな消費者意識を汲んだプロモーションが効果的か考えるには、まず今後の消費者の意識・関心がどんな方向に向かうか考えてみます。
- ソーシャルディスタンスを保ちながら人とのつながりを楽しみたい
- 純粋に好きなもの、元気にしてくれるものを楽しみたい
- コロナが落ち着いた先、自分を取り巻く環境や世界をより良いものにしたい
こういった消費者の意識に寄り添った内容を盛り込めるプロモーション案を解説していきます。
ソーシャルディスタンスを保ちながら人とのつながりを楽しむ
【グループ応募キャンペーン】
アフターコロナでもソーシャルディスタンスの確保はニューノーマルとして、ある程度意識され続けると考えられます。
ソーシャルディスタンスを保ちつつ、安心して人とのつながりを楽しめる要素が求められるでしょう。
オンラインでのプレゼントキャンペーンやプレミアムキャンペーンは様々なものがありますが、周囲の人と楽しみを共有できる点に注目してみましょう。
これまでにもキャンペーンに応募したこと自体は、リツーイトなどが応募条件になっていることで、周囲に共有することができました。今後の予測としては、応募したことを周囲にお知らせするだけでなく「オンライン上で一緒に応募する」グループ応募のスタイルにニーズが高まると考えられます。
消費者は人とのつながりを楽しみながら参加することができ、実施側には商品認知を高めることができるというメリットがあります。
好きなもの、元気にしてくれるものを楽しめる
【アニメコラボプロモーション】
社会現象となった「鬼滅の刃」をはじめとするアニメや漫画、ゲームコンテンツ。
特にアニメは、コロナ禍の苦しい状況で元気をもらったという人も多いのではないでしょうか。
純粋に好きなものを楽しむことの大切さがわかったアフターコロナでは、今後より一層アニメコラボが盛り上がるでしょう。
アニメコラボは、企画内容に斬新さやキャッチーさがあるとTwitterを中心にSNSで話題に上りやすいです。
面白いと思った情報は活発に情報共有をしてくれるアニメファン層を取り込むことでSNS上での拡散によるブランドや商品の認知を狙えます。
コロナが落ち着いた先、自分を取り巻く環境や世界をより良いものにしていきたい
【エシカルプロモーション】
おうち時間にゆっくりしながら楽しむ時間を大切にする感覚は「#チルタイム」や「丁寧な暮らし」などのキーワードにも見られるように、アフターコロナは特に「過ごしやすい空間・生活」に対する関心が高まるでしょう。
また、小さなことでも「誰かの役に立ちたい」という貢献意識や、サステナブルな「エシカル消費」への興味関心は今、30代以降の女性を中心に広まろうとしています。
レジ袋有料化によるエコバッグ需要に始まり、今後はテイクアウトでのプラスチックカトラリーの有料化の可能性も出てきています。インテリアや衣料、生活用品でのプロモーションでは、そういったターゲットへの訴求に、エシカルなライフスタイルやキャンペーンを盛り込んだプロモーションが受け入れられていくと考えられます。
先の見えない不安と耐える意識の強かったウィズコロナから、不安はあれどニューノーマルとともに先を見据えて進んでいこうという意識が強くなるアフターコロナ。ウィズコロナ、アフターコロナでは消費者の意識も変化します。
刻一刻変化する消費者の意識・関心に寄り添うことで、消費者の心に響く効果的なプロモーションが実現できます。
効果的なセールスプロモーション企画のお手伝いは、ぜひ当社の営業担当までご相談ください。