【推し活研究員が行く!Vol.5】ジャカルタ視察から考える、日本発コンテンツグッズの海外展開の可能性

【推し活研究員が行く!Vol.5】ジャカルタ視察から考える、日本発コンテンツグッズの海外展開の可能性

2025年6月、推し活研究員の私、藍生エイトは、インドネシア・ジャカルタを視察しました。

現地のキャラクターグッズ市場を知るため、ショッピングモールやグッズショップなどを巡り、街中でどのような商品が展開されているのかを調査。さらに、東南アジア最大級のポップカルチャーイベント「Anime Festival Asia Indonesia 2025(通称:AFA)」にも足を運び、現地で日本発コンテンツを楽しむファンの姿や、イベントならではの盛り上がりを見てきました。

その後、2025年11月には、AFA発祥の地であるシンガポールも視察。同じAFAの開催地でありながら、街中のグッズ売場やイベントでのファンの楽しみ方には、それぞれ異なる特徴が見られました。一方で、日本発コンテンツを楽しむファンの姿や、キャラクターグッズやフィギュアに触れられる環境など、共通して見える部分もありました。

今回は、ジャカルタで見たグッズ市場とファンカルチャーを紹介するとともに、シンガポール視察との比較も交えながら、日本発コンテンツグッズの海外展開の可能性について考えます。

日本発コンテンツとの接点も。インドネシアってどんな市場?

インドネシアは、約2億8,000万人の人口を抱える、東南アジアで最も人口の多い国です。
若い世代も多く、日本のアニメやマンガ、ゲームなどが楽しまれているほか、日本発コンテンツが現地に合わせた形で展開されている事例も見られます。

例えば、AKB48の海外姉妹グループとしてジャカルタを拠点に活動する「JKT48」や、インドネシアを拠点とするVTuberグループ「hololive Indonesia」など、日本発のコンテンツやビジネスモデルをベースにしながら、現地のファンとの接点を築いているケースもあります。

では、実際のジャカルタでは、どのような場所でキャラクターグッズが展開され、ファンとの接点が生まれているのでしょうか。

今回の視察では、ショッピングモールからローカルのショップまで、ジャカルタ市内の売場を実際に見て回りました。

ジャカルタのグッズ市場を調査!現地で訪れた注目スポット

同じジャカルタ市内でも、エリアによって街の特徴や雰囲気は異なります。

今回の視察では、商業施設やローカルショップなどを巡りながら、それぞれのエリアでどのようなグッズが展開されているのかを調査しました。

まずは、ジャカルタ全体のエリアを見てみましょう。

ジャカルタは5つの行政区に分かれる都市

ジャカルタ全体のエリア図

ジャカルタは5つの行政区に分かれており、それぞれ異なる特徴があります。

  1. 中央ジャカルタ
    官公庁やビジネス街、モナスなどのランドマークが集まる街の中心エリア。
  2. 西ジャカルタ
    大型商業施設が多く、ショッピングを楽しめるエリア。旧市街方面へのアクセスも良好です。
  3. 南ジャカルタ
    商業施設やオフィス、飲食店が集まり、トレンドの発信地としても知られるエリア。
  4. 東ジャカルタ
    住宅地や工業エリアが広がる、比較的ローカルな雰囲気のエリア。
  5. 北ジャカルタ
    港湾エリアのほか、アンチョールやPIKなどレジャー・観光スポットも点在する海側のエリア。

今回の視察では、ジャカルタの中でも商業施設やエンターテインメント施設が集まる、西ジャカルタ・南ジャカルタを中心に調査を行いました。

今回視察した主要エリア

ジャカルタ主要エリア図
  1. メンテン(Menteng)
    中央ジャカルタを代表する落ち着いた街並みのエリア。大使館や歴史ある建物、カフェなどが点在し、ジャカルタ観光では人気の散策スポットとして知られています。
  2. スディルマン(Sudirman)/SCBD
    高層オフィスや大型商業施設が集まるジャカルタ有数のビジネスエリア。今回訪れたASHTA DISTRICT 8もこのエリアにあります。
  3. スナヤン(Senayan)
    大型商業施設やスポーツ施設が集まるエリア。STC SenayanやFX Sudirman(JKT48劇場)もこの周辺に位置しています。

このほかにも、中央ジャカルタの北側には、オランダ統治時代の街並みが残るコタトゥア(Kota Tua)という旧市街があり、日本人旅行者にも人気の観光エリアとなっています。ジャカルタは、近代的なビジネス街から歴史ある街並みまで、多様な表情を持つ都市です。

それでは実際に、各エリアで訪れたショップを見ていきましょう。同じジャカルタ市内でも、売場のつくりや取り扱う商品には、それぞれ特徴がありました。

1. BNS HYPE|ASHTA DISTRICT 8 / PIK Avenue

BNS HYPE|ASHTA DISTRICT 8 / PIK Avenue

まず訪れたのは、南ジャカルタに位置する「ASHTA DISTRICT 8」。高感度なショップやレストランなどが集まる、洗練された雰囲気の商業施設です。

その中に店舗を構える「BNS HYPE」は、アートトイやフィギュア、キャラクターグッズなどを扱うセレクトショップ。店内では特にブラインドボックス形式のフィギュアが多く見られました。

BNS HYPEはASHTA DISTRICT 8のほか、PIK Avenueというスカルノハッタ空港からアクセスしやすいショッピングモールにも店舗を展開しています。

今回視察したショップの中でも、洗練された店舗デザインや商品ディスプレイが特徴的で、キャラクターやアートトイを大人も楽しめるアイテムとして見せる売場づくりが目を引きました。

2. MINISO|Central Park

MINISO|Central Park

西ジャカルタに位置する「Central Park」は、ショップやレストランなどが集まる大型ショッピングモールです。

その中にある「MINISO」では、MINISO Group傘下のアートトイブランド「TOP TOY」の商品をメインに、多彩なキャラクターのフィギュアやブラインドボックスが展開されていました。

多くの人が行き交う大型ショッピングモールにもこうした売場が設けられていることから、キャラクターグッズやブラインドボックスが、幅広い層の目に触れる機会があることもうかがえます。

3. OH!SOME|Central Park

OH!SOME|Central Park

同じくCentral Parkで訪れたのが、ファッションやビューティー、雑貨、キャラクター商品など、幅広いカテゴリーの商品を扱うライフスタイルショップ「OH!SOME」です。

特に目を引いたのは、店内の「見せ方」。キャラクターやポップな装飾を取り入れたディスプレイなど、店舗を歩くこと自体が楽しくなるような空間づくりが見られました。

商品を棚に並べるだけではなく、キャラクターの世界観や楽しさを空間全体で伝える売場づくりは、グッズの店舗展開を考えるうえでも参考になりそうです。

4. STC Senayan

STC Senayan

STC Senayanでは、これまでの大型商業施設とは少し異なる、ローカルなグッズ・ホビーショップを見て回りました。

館内は比較的小規模な区画のショップが並ぶ商業施設で、フィギュアやミニカー、模型など、趣味性の高い商品を扱う店舗が見られます。

洗練された売場でアートトイなどを展開するBNS HYPEや、幅広い商品を扱うMINISO、OH!SOMEとは異なり、よりコアな趣味やコレクションを楽しむ層に向けた売場という印象です。

5. JKT48劇場|FX Sudirman

日本発コンテンツが現地でどのように展開されているのかを見るため、「JKT48劇場」があるFX Sudirmanも訪れました。

JKT48は、AKB48の海外姉妹グループとしてインドネシア・ジャカルタを拠点に活動しています。

残念ながら視察時は劇場がお休みだったため公演を見ることはできませんでしたが、日本発のアイドル文化が現地に根づき、リアルなファンとの接点を持つ事例の一つとして、今回の視察先に加えました。

今回ジャカルタの街を歩いてみると、キャラクターグッズは幅広い場所で展開されていました。

洗練された空間でアートトイやブラインドボックスを販売するショップから、いろんな商品を扱うライフスタイルショップ、コアなファンが集まるローカルのホビーショップまで、売場のスタイルも多岐にわたります。

こうした街中の売場とあわせて今回注目したのが、日本発コンテンツを楽しむファンが集まる「AFA Indonesia 2025」です。

約4万8,000人が来場した会場では、ファンはどのようにコンテンツやグッズを楽しんでいたのでしょうか。

AFA Indonesiaから見えた、インドネシアのファンカルチャー

約4万8,000人が来場!日本発コンテンツが集まる大型イベント

約4万8,000人が来場!日本発コンテンツが集まる大型イベント

AFAは、アニメやマンガ、ゲーム、J-POP、コスプレなど、日本のポップカルチャーをテーマとした東南アジア最大級のイベントです。

2008年にシンガポールでスタートし、インドネシアやタイなど東南アジア各地で開催されてきました。

今回訪れた「AFA Indonesia 2025」は、2025年6月にジャカルタで開催され、3日間で約4万8,000人が来場。会場には日本発コンテンツに関連する企業や現地ライセンシーのブースが並び、多くのファンでにぎわっていました。

会場を歩いて特に印象に残ったのは、グッズを「買う」だけではない、ファンの楽しみ方の広がりです。

会場でひときわ盛り上がっていた「コスプレ」

会場でひときわ盛り上がっていた「コスプレ」

会場で、特に大きな盛り上がりを見せていたのがコスプレです。

会場にはコスプレイヤーのブースも設けられ、撮影会やサイン会などが行われていました。推しのコスプレイヤーに会いに行き、一緒に写真を撮ったり、関連グッズを購入したりするなど、コスプレイヤー自身を応援する楽しみ方も見られました。

好きなキャラクターになりきって楽しむだけではなく、「好きなコスプレイヤーに会う」「撮影する」「交流する」といった体験も、イベントを楽しむ大きな要素になっているようです。

VTuberやライブなど、リアルな「体験」も人気

会場では、VTuberをはじめとしたバーチャルコンテンツやライブイベントを楽しむファンの姿も見られました。

オンラインを中心に活動するコンテンツであっても、イベント会場で同じファンと一緒に楽しんだり、ステージを観覧したりすることで、リアルな場ならではの体験が生まれています。

日本発コンテンツを「見る」「買う」だけではなく、実際に会場へ足を運び、その場の熱気やファン同士の一体感まで含めて楽しむことが、現地のファンカルチャーの一つになっていることがうかがえました。

「推し」を持ち歩き、自分らしく楽しむファンの姿も

会場では、ぬいぐるみや痛バッグなど、「推し」を身につけたり持ち歩いたりするファンの姿も多く見られました。

中でも印象的だったのが、リュックや小型のバッグなど、痛バッグのスタイルが豊富なことです。また、一つのバッグに複数のコンテンツのグッズを組み合わせたり、ぬいぐるみを入れたりするスタイルも多く見られました。

日本でよく見られるような、同じ絵柄・種類の缶バッジを大量に並べるスタイルは比較的少なく、それぞれが自由に「好き」を詰め込んで楽しんでいる印象を受けました。

日本とは表現の仕方に違いはあるものの、インドネシアでも、自分の「好き」を目に見える形で表現しながらイベントを楽しむ文化が見られます。

グッズは購入して所有するだけではなく、推しをアピールしたり、写真を撮ったり、ファン同士の交流のきっかけになったりと、イベント体験の一部としても活用されていました。

シンガポールとの比較から見えた、共通点と違い

AFA Indonesiaの視察から約5か月後の2025年11月、AFA発祥の地であるシンガポールも視察しました。

【推し活研究員が行く!Vol.3】シンガポールで見えた“海外グッズ市場の可能性

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どちらの都市でも街中のグッズ売場とAFAの両方を見たことで、ファンの楽しみ方やグッズ市場には、それぞれ異なる特徴があることが見えてきました。

シンガポールでは、公式ライセンスグッズを扱うショップや売場が充実し、グッズを目的に店舗を訪れるファンの姿が印象的でした。

一方、インドネシアでは、コスプレイヤーとの撮影やライブ、ファン同士の交流など、イベントに参加し、その場で体験することへの熱量を強く感じました。

こうした違いがある一方で、日本発コンテンツを楽しむ多くのファンがいることや、痛バッグやぬいぐるみなどのグッズを通じて「好き」を表現する文化には、共通する部分も見られます。

シンガポールとは市場の成熟度やファンの楽しみ方に違いはあるものの、日本発コンテンツを楽しむファンが存在し、街中にもキャラクターグッズに触れられる売場があることは、日本発コンテンツグッズの今後の広がりを考えるうえで注目したいポイントです。

まとめ

今回のジャカルタ視察では、街中のグッズ売場からAFA Indonesia 2025まで、キャラクターやグッズを取り巻く現地の市場とファンカルチャーを見ることができました。

日本発コンテンツを楽しむファンの熱量に加え、痛バッグやぬいぐるみなど、グッズを取り入れながらコンテンツを楽しむ姿も見られたことから、日本発コンテンツグッズが今後さらに広がっていく可能性を感じます。

海外に向けたグッズ展開を考える際には、日本で人気の商品をそのまま展開するだけではなく、現地のファンがどのようにコンテンツやグッズを楽しんでいるのかを知ることも重要です。

それぞれの国や地域ならではのファンカルチャーを理解することが、その市場に合ったグッズ企画や、日本発コンテンツをより多くのファンに届けるためのヒントになるのではないでしょうか。

トランスでは、日本市場向けの商品企画はもちろん、海外市場を見据えた商品開発やプロモーションのご相談にも対応しています。国内外の市場やファンインサイトを踏まえた企画提案をご希望の際は、お気軽にご相談ください。

ライター:藍生エイト

藍生エイト

推しビジネス研究所(仮)、通称「推し研」の研究員。
推し活の“いま”を追いかけながら、グッズ企画に活かせるトレンドやアイデアを日々リサーチ&発信中。
8/1生まれのAB型。コーヒー片手に、ゲーム・アニメ・漫画など幅広いジャンルの推しを追いかけるタイプ。

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