SNSやTikTokなどを中心に、最近耳にする機会が増えている「フェアリーグランジ」。
一見、相反するスタイルのようにも思える“フェアリー”と“グランジ”が融合したこの言葉は、Z世代の新しいファッション・価値観を象徴するキーワードとして急速に注目を集めています。
“曖昧”で“感傷的”で“幻想的”なこのスタイルは、今後の商品企画にも十分に活かせる可能性を秘めています。
この記事では、フェアリーグランジの背景からグッズ企画のヒントまでを深掘りします。
フェアリーグランジとは?その定義と背景

フェアリーグランジは、90年代のグランジファッションのラフで反骨的な要素に、妖精のような幻想的で儚いテイストを掛け合わせたスタイルです。
繊細なレースやチュール、くすみカラーなどのフェアリー的要素に、ダメージ加工や古着感、グレーやチャコールといったグランジらしい色味を組み合わせて成立します。
このスタイルの背景には、「既存のジャンルに縛られたくない」「自分らしさを自由に表現したい」というZ世代ならではの感性があります。
個性の時代において、ひとつの美意識に収まらない“ミックス”のセンスこそが今のトレンドなのです。
フェアリーグランジの特徴:デザイン・カラー・素材感
フェアリーグランジの特徴は、なんといっても「柔らかいのに強さを感じる」絶妙なバランス。
以下の要素がこのスタイルを象徴します。
- カラー:くすみピンク、グレイッシュラベンダー、スモーキーなグリーン、チャコールなど。明るさの中に陰りを感じるような色味。
- 素材:チュール、シースルー、レース、ニット、デニム、クラッシュ加工素材など、異素材ミックスが鍵。
- アイテム例:レイヤードワンピース、穴あきニット、ボリューム袖トップス、メタリック×レースのミックスアクセなど。
「繊細」×「ダメージ」、「夢」×「現実」、そんな矛盾する世界を共存させることで、唯一無二のビジュアルが生まれます。
フェアリーグランジがZ世代に刺さる理由は「曖昧さを肯定してくれる」から
フェアリーグランジがZ世代の心を掴んでいるのは、単に「可愛い」「新しい」といったビジュアルの魅力だけではありません。
このスタイルの本質は、矛盾やあいまいさを肯定してくれることにあります。
「無骨さ」と「幻想性」、「粗さ」と「繊細さ」。一見すると対極にあるこれらの要素を、フェアリーグランジはあえて同時に内包します。
それはまるで、“強くありたいけど、時には弱くてもいい”という、Z世代の等身大の気持ちをそのまま表現してくれているよう。
Y2Kファッションのような「強く、輝いて、自分を見せつける」スタイルに共感する人がいる一方で、その勢いに少し疲れてしまった人たちも確かに存在します。
フェアリーグランジは、そんな彼らにとっての「もうひとつの自己表現の道」。
「強くなくてもいい。完璧じゃなくてもいい。自分らしくいられれば、それでいい。」そんな柔らかな肯定を含んだスタイルだからこそ、Z世代に深く刺さっているのです。
ファッションで自分を“飾る”のではなく、内面の揺らぎや感情を“にじませる”。
その感傷的で曖昧な美しさこそが、フェアリーグランジの持つ最大の魅力なのです。
フェアリーグランジをグッズ企画で活かすなら

フェアリーグランジの要素は、アパレルに限らず雑貨やグッズ企画にも応用可能です。
ポイントは、「異なる素材感のミックス」と「どこか儚さを感じさせる色使い」にあります。
たとえば、レースとくすみカラーの巾着ポーチ、あえてヨレ感を出した古着風トートバッグ、くすみメタリックのアクリルアクセサリーなど、素材とカラーを巧みに組み合わせることで、フェアリーグランジの空気感を表現できます。
撮影やビジュアル制作の段階でも、背景に花や煙、自然光を活かした柔らかな演出を加えることで、幻想的な世界観がより際立ちます。
フェアリーグランジと他トレンドとの関係性
バレエコアやウィッシュコアといった近年のナチュラル・フェミニン系トレンドともフェアリーグランジは親和性があります。
ただし、最も大きな違いは「グランジ的な粗さ」をあえて取り入れている点にあります。
たとえばバレエコアは可憐で整った美しさ、ウィッシュコアはスピリチュアルな幻想性が特徴です。それに対し、フェアリーグランジはもっとリアルで地に足のついた夢。ダメージ加工や重ね着、非対称なデザインなどを通じて、非完璧さの中に美しさを見出します。
フェアリーグランジとY2Kの関係性とは?

フェアリーグランジを語る上で外せないのが、2000年代初頭に一世を風靡した「Y2Kファッション」とのつながりです。
パッと見は異なるように感じるこの2つのスタイルですが、実はフェアリーグランジの根底にはY2Kの要素がしっかりと息づいています。
ここからは、そのルーツと変遷、そしてZ世代に受け入れられている理由を紐解いていきましょう。
フェアリーグランジのルーツはY2Kファッションにあった
Y2Kファッションとは、1999年から2000年代前半にかけて流行したスタイルで、テクノロジーとポップカルチャーの影響を色濃く受けたファッションムーブメントです。
クロップドトップ、ローライズデニム、スパンコールやメタリック素材、スポーツブランドのジャージといったアイテムが象徴的で、どこか「スポーティー」で「キラキラ」しているのが特徴でした。
このようなY2K的要素は、フェアリーグランジの土台になっています。
特に、スタイリングにおける肌見せバランスや、色彩の使い方、素材選びにその影響が見られます。
ただし、フェアリーグランジではそれらがより「幻想的」で「儚い」方向にシフトしている点が大きな違いです。
Y2Kから受け継いだフェアリーグランジの要素
フェアリーグランジのスタイルには、Y2Kの「スポーティーさ」や「抜け感」がしっかりと受け継がれています。
しかし、そこに加えられているのが“古着感”や“グランジ的なラフさ”です。
例えば、ヨレ感のあるニットや、色落ちしたデニムなど、わざと「完璧じゃない」質感が加えられることで、着る人の内面とリンクするような親密さが生まれます。
また、素材やシルエットにはどこか懐かしさを感じさせるディテールが多く、Z世代が持つ「レトロへの憧れ」や「過去の再解釈」への感度にもマッチします。
Y2Kの華やかさを受け継ぎつつ、より日常的でリアルクローズに落とし込まれている点が、フェアリーグランジらしさを際立たせているのです。
フェアリーグランジはY2Kの再解釈系スタイル
Y2Kとフェアリーグランジは、単なる“流行の系譜”というより、「再解釈」の関係にあります。
具体的には、Y2Kの中でも「ストリート感」や「大胆さ」といった要素をベースに、フェアリーグランジではそこにフェアリーコアの“幻想性”と、グランジの“無骨さ”を加え、新しいバランスを作り出しています。
そのビジュアルは、まるで“90年代のグランジファッションを夢フィルターで撮り直した”よう。
かつてのY2Kが持っていた「勢い」や「強さ」は、“繊細さ”や“透明感”といった感覚に変換され、Z世代の美的感性にフィットするスタイルへとアップデートされています。
なぜフェアリーグランジはY2Kと同じくZ世代にハマっているのか?
Z世代がフェアリーグランジに強く共鳴する理由は、その内包するメッセージ性にあります。
Y2Kファッションが“私を見て!”という強い自己主張のスタイルだったのに対し、フェアリーグランジは“私を感じて”という、もっと曖昧で内向的な感性に寄り添っています。
感傷的で、夢見がちで、少し不安定な美しさ。そうした曖昧さを肯定してくれるこのスタイルは、「強くなくてもいい」「無理に自分を作らなくてもいい」というメッセージとして、Z世代に安心感と共感を与えています。
その意味で、フェアリーグランジは単なるファッションの一種ではなく、「みんなと同じY2Kじゃ物足りない」「もっと自分らしい世界観を表現したい」というZ世代の気持ちに応える、“Y2Kの次のステージ”としての自己表現のスタイルなのです
まとめ
フェアリーグランジは、Z世代の感性に刺さる新時代のファッションスタイルとして、アパレルだけでなくグッズ企画にも大きな可能性を持っています。
幻想性とリアルのミックス、強さと儚さの共存、そして「自分らしさを曖昧なまま肯定する」世界観は、従来のY2Kの延長線上にある、まさに再解釈された価値観です。
このトレンドを上手くグッズ企画に取り入れることで、感度の高い層へのアプローチが可能になります。
なお、「推しビジネス研究所(仮)」でも、フェアリーグランジのテイストを取り入れたグッズ製作やビジュアル開発のご相談が可能です。
トレンドを捉えた商品企画をお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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咲楽レイ
フェアリーグランジを調べる毎に、ただの“可愛いスタイル”ではなく「自分をどう表現するか」の文脈で選ばれていることを強く感じました。Z世代のトレンドは、ただ真似するだけでは心に届かない。その本質を理解したうえで、どれだけ共感できる世界観を形にできるか。今後の商品企画のカギは、まさにそこにあると思います。
公開日:
株式会社トランス