将来の消費を担う世代として、注目度を上げてきている「α世代(アルファ世代)」。
Z世代(ゼット世代)の次の世代と位置付けられ、2030年代にかけて消費市場の中心となる世代として注目されており、世界人口は約20億人以上に達すると予測されています。歴史上最も人口ボリュームの多い世代となるα世代が、今後ビジネスの世界で大きな影響力を持つことは間違いありません。
そこで今回は、α世代ならではの特徴と、彼ら・彼女らの消費行動を踏まえたマーケティングのポイントを事例付きでご紹介します。長期間を見据えたマーケティング戦略や、今後のトレンドをつかむヒントとしてお役立てください。
Z世代の次!『α世代』とは

α世代とは?
Z世代の次の世代とされるα世代は、一般的に2010年〜2024年頃に生まれた世代を指します。
全員が21世紀生まれの世代で、幼少期からタブレットや音声アシスタント(AI)が身近にあり、文字より動画で情報を消費している「AI・動画ネイティブ」です。
「Generation Alpha(ジェネレーション・アルファ)」という名称は、オーストラリアの社会学者マーク・マクリンドル氏が提唱したもので、2030年代にかけて消費市場の中心となる世代として注目されており、世界人口は約20億人以上に達すると予測されています。
Z世代とは?
α世代の一世代前にあたるZ世代は、一般的に1996年~2010年頃に生まれた世代を指します。
幼少期からインターネットやスマートフォンなどのデジタル環境に囲まれて育った「スマホネイティブ」であり、多様性を尊重する価値観や、SDGs・サステナビリティへの関心が高いことなどが特徴とされています。
中間層「Zalphas(ザルファス)」にも注目
| Z(ゼット)世代 | α(アルファ)世代 | |
|---|---|---|
| 生まれ年 | 1996~2010年ごろ | 2010~2024年代ごろ |
α世代とZ世代は、共通する特徴が多く、両世代を明確に分けて捉えることは難しいとされています。そのため、Z世代の中でも複数の価値観の層が存在するように、α世代を単純に「Z世代の次の世代」と断定するのは早いという見方もあります。
そこで提唱されたのが、Z世代とα世代の中間層を示す「Zalphas(ザルファス)」という呼称です。
Zalphasには、以下のような特徴があるといわれています。
- トレンドを追いながら、クリエイティブな手段で自己表現を行う
- 倹約志向で環境意識が高い
- デジタルネイティブである一方、フィジカルな体験が得られるアナログにも関心を持つ
- 繊細さや柔らかさ、反発心、不安感など、複雑な感情を併せ持つ
α世代は現在まだ若い世代であるため、今後その特徴がより明確になるにつれて、Zalphasの捉え方も変化していく可能性があります。しかし、こうした特性を踏まえておくことは、α世代とZ世代の間に存在する価値観のグラデーションを理解するうえで役立つといえるでしょう。
α世代の特徴

改めて、α世代ならではの特徴をご紹介します。
AI・動画ネイティブで、オンラインの交流にも抵抗がない
2007年にiPhoneが登場し、その後iPadやInstagramなどのサービスが普及した2010年以降に生まれているため、幼い頃から親のスマートフォンでYouTubeやTikTokの動画を視聴し、SNSやアプリ、オンラインゲームをコミュニケーションや遊びの手段として活用しています。
さらに、小学生の段階から学校の授業でタブレットを使用するなど、デジタル機器を自然に使いこなしている世代であり、今後はAIやロボットを身近な存在として活用していく人材になることが期待されています。
人種・性別・価値観などの多様性(ダイバーシティ)を受け入れ、尊重する
α世代は、多様な価値観を受け入れる傾向があり、人種や性別にとらわれない考え方が広がりつつある世代といわれています。
その背景には、異なる人種や民族の親を持つ子どもが増えていることや、海外文化に触れる機会が多いこと、さらにLGBTQをはじめとする多様な価値観についての情報に触れやすい環境で育っていることなどが挙げられます。
α世代の成長とともに、仕事や恋愛、家庭など生活のさまざまな場面で、ボーダーレス・ジェンダーレスな価値観がより身近なものになっていく可能性もあると考えられています。
SDGs・サステナブルなどの社会課題に対する関心が高い
α世代の親の多くは、Y世代(ミレニアル世代)に分類されます。
Y世代はSDGs・サステナブルなどの社会課題に対する意識が高いと言われており、そのような親から影響を受けたα世代も同様に、社会課題への関心が高くなる可能性があります。
バーチャル空間を好む
α世代の特徴として、バーチャル空間・メタバースや、アバターを通した体験を好む傾向も挙げられます。
新型コロナウイルス感染症の流行による外出自粛をきっかけに、ビジネスやイベントの場でメタバースの導入が急速に進んだことが背景にあります。
コロナ禍には、メタバース上で卒業式が行われるなど、学校生活にもメタバースが取り入れられ、ニュースとして話題になりました。幼い頃からメタバースに触れて育ったα世代が社会に出る頃には、ビジネス・プライベートの両面でメタバースやバーチャルの活用がさらに広がると考えられます。そのため、働き方も現在とは大きく変わっているかもしれません。
従来とは異なる教育や教育手段で学んでいる
2020年度から小学校で英語やプログラミング教育が必修化されたことに加え、コロナ禍でリモート授業が取り入れられるなど、α世代の教育環境には、今までとは異なる特徴が見られます。
タブレット学習、SNSを通したインターネット知識の取得、AIの活用、フリースクールの普及など、従来とは異なる多彩な学び方が浸透し始めており、α世代の学び方の変化に伴い、彼らの教育に携わるY・Z世代の働き方も変わってくるでしょう。
コスパよりもタイパを重視する
費用対効果を意味する「コスパ(コストパフォーマンス)」に対して、時間対効果を意味する「タイパ(タイムパフォーマンス)」という言葉があります。
α世代は、自分が価値を感じられることに時間を使いたい、時間を無駄にしたくないという気持ちが強く、コスパよりもタイパを重視すると言われています。
- YouTube動画の倍速視聴
- TikTokなどのショート動画を好む
- 自分好みのものを選んでくれるパーソナライズサービスの利用
- 運動や勉強中に「ながら聴き」できる音声メディアの活用
などがタイパ重視の行動の代表的な例です。
モノよりも体験を重視する
α世代は、高品質なデジタル環境や、安価でハイクオリティな商品に囲まれて育っている世代であり、物質的な豊かさに対しては、それほど強い関心を抱かない傾向があります。
その一方で、新しい体験や自分の価値観と合う人との出会い、斬新なアイデアなどには興味を持つ傾向があり、「モノ」の消費よりも「コト」を通じた経験を重視する世代だと言えるかもしれません。
α世代のトレンドや嗜好
α世代の子どもたちは、デジタルネイティブの中でも特に「超デジタルネイティブ」とも呼ばれる世代です。
彼らはスマートフォンやタブレットを使いこなし、YouTube、TikTok、Twitchといった動画コンテンツを中心に情報を消費しています。
α世代が関心を持つコンテンツは以下のようなものです。
YouTube
教育系動画(ナゾトキ、実験系)、ゲーム実況、バーチャルYouTuber(VTuber)などが人気を集めています。特に、知的好奇心を刺激する「謎解き動画」や「実験動画」は、楽しみながら学べる要素があるため、親子で視聴するケースも増えています。また、VTuberコンテンツでは、キャラクターと視聴者の双方向コミュニケーションが可能であり、α世代にとって親しみやすい存在となっています。
TikTok
短尺動画の流行により、α世代は「視聴」だけでなく「発信」する側にもなりつつあります。ダンス動画やチャレンジ企画が人気で、短い時間で刺激的な情報を得る習慣が形成されています。
ゲーム
Roblox、Minecraft、フォートナイトといった「クリエイティブ要素の強いゲーム」が好まれています。α世代は受動的にゲームをプレイするのではなく、自ら世界を創り出し、カスタマイズすることに楽しさを感じています。
アニメ・キャラクター
ポケモン、鬼滅の刃、スパイファミリーなど、グローバルにヒットする作品を好む傾向があります。α世代は、国内外問わず流行に敏感であり、SNSを通じて世界のトレンドをいち早くキャッチします。
α世代のメディア消費は、単に「見る」だけではなく、「参加する」「創る」といった要素が強くなっており、今後のマーケティング戦略にも大きな影響を与えるでしょう。
α世代のメディア消費行動の詳細分析
α世代は、従来の世代とは異なり、より能動的にメディアを活用する傾向があります。
その行動特性を詳しく見てみましょう。
視聴時間の長さ
短尺動画(TikTok、YouTube Shorts)と長尺動画(Netflix、YouTubeライブ配信)を使い分ける特徴があります。例えば、短尺動画はスキマ時間に視聴し、長尺動画は週末や夜のリラックスタイムに楽しむといった習慣が形成されています。
デバイスの選択
テレビよりもスマートフォン・タブレットを好む傾向が強く、画面の大きさよりも「どこでも見られる利便性」を重視しています。
コンテンツの発信
視聴するだけでなく、自ら動画投稿をするケースも増えています。特に、TikTokでは子ども向けのフィルターやエフェクトが充実しており、簡単にコンテンツを制作できる環境が整っています。
SNS利用
FacebookやX(旧Twitter)ではなく、InstagramやTikTokが主流であり、Z世代以上の世代とは異なるSNS環境で交流を深めています。
AIアシスタントの活用
SiriやAlexaなどの音声認識技術を活用し、音声検索を頻繁に行うため、企業側も「音声SEO」への対応が求められています。
このように、α世代は「視聴者」ではなく「クリエイター」としての側面を強く持っており、受動的に情報を得るのではなく、能動的に関わることが特徴です。
α世代へ向けたマーケティングのポイント

α世代を狙ったマーケティングを成功させるには、以下のポイントを押さえることが重要です。
Y世代も意識した戦略
α世代はまだ幼く、消費の当事者には当てはまりません。
そのため、α世代の子どもたちだけでなく、彼らの親世代にあたるY世代の消費行動を踏まえたサービスや商品を考案する必要があります。
1980年~1995年頃の生まれを指すY世代は、環境負荷の低減や男女機会平等への意識の高さ、自身が価値を感じるものへの消費を重視する傾向などが特徴とされています。
また、物質的な豊かさよりも、特別感や周囲とシェアできる体験のためにお金を使う、「コト消費」の傾向が強い点も特徴として挙げられます。
そのため、自分の子どもに関する消費においても、サステナビリティを意識したものや、魅力的な経験・知識を得られるサービスに対するニーズが高いと予想されます。
興味関心が移り変わりやすいα世代へアプローチするアイデアが必要
α世代をターゲットに設定したマーケティングでは、興味が持続しにくい彼らの特性も考慮する必要があります。
生まれたころからデジタルコンテンツに慣れ親しんでいるα世代にとって、大量の情報が流れてくる状況は当たり前のため、わざわざ自分から物事を調べたり考えたりする手間をかけにくい傾向があります。
「まず答えありき」の志向になりがちで、コスパよりも、かかった時間に対して得られる対価や満足度を指す「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視する点も、特徴として挙げられます。
YouTubeなどの10分程の動画でも「長い」と感じ、知りたい情報が数秒の短尺動画ですぐに手に入るSNS・TikTokを好むなど、タイパ重視の価値観が色濃い世代です。
ショート動画や、スキップされにくいとされる音声広告を活用するなど、飽きやすく、効率的である彼らの志向に合わせ、常に斬新なテーマを設定し続ける、成果の見えやすいコンテンツを用意する、といった、この世代に向けた特別なアプローチが必要です。
SNSなどのソーシャルメディアを活用する
α世代はスマホネイティブであり、幼いころからデジタルデバイスを日常的に使用しており、各種SNSをはじめとしたソーシャルメディアに慣れ親しんでいます。1日のうち多くの時間をソーシャルメディアに費やすことも考えられるため、α世代向けのマーケティングを考えるうえで特に重視すべき媒体と言えるでしょう。
現在のY世代~Z世代に人気のソーシャルメディアは
- YouTube
- TikTok
- X(旧Twitter)
- LINE
- Threads
- BlueSky
などですが、今後台頭するサービスやアプリを予想するのは難しく、全く新しいプラットフォームが誕生する可能性もあります。
マーケターは、α世代が関心を寄せる新しいサービスやアプリの情報をキャッチできるように、常にアンテナを張っておく必要があります。
α世代をターゲットにしたマーケティング事例
α世代をターゲットにしたマーケティングの事例をご紹介します。
タカラトミー 「ぷにるんず」
タカラトミーの「ぷにるんず」は、本体の穴に指を入れ、ぷにぷにとした触感のボタンを操作しながらプレイする新感覚の育成トイです。
ボタンを押すだけだった従来の育成トイに、まぜる・こねる・さわる、のアナログな体験をプラスした点が画期的で、液晶画面のキャラクターに、直接触れてお世話しているような感覚を味わえる“本物感”がα世代の心をつかみました。
タブレットやゲーム機に慣れ親しんだα世代に対して、斬新な体験を提供するおもちゃとして、親世代にも支持されているようです。
メガハウス 「マイイルミ ドリームカラー」
バンダイナムコグループ・メガハウスの「マイイルミ ドリームカラー」は、自分だけのイルミネーションをつくれるホビーセットです。
5色のイルミピンを「イルミカセット」にさして、自由に図柄をデザインすることができます。光の色や明るさのほか、点滅・ウェーブなど、光り方も選択可能で、見た目に楽しいだけでなく、本格的なクリエイティブ体験ができるおもちゃとして、α世代の子どもたちを魅了しています。 また、遊んでいるうちにものづくりやデザインの面白さに気付けることから、親世代からの評価も高いようです。
KONAMI 「桃太郎電鉄 教育版Lite 〜日本っておもしろい!〜」
1988年、KONAMIがファミリーコンピュータ用ソフトとして発売した「桃太郎電鉄(通称、桃鉄)」。プレーヤーが鉄道会社の社長となり、日本全国の駅をすごろく形式で巡りながら物件を購入し、総資産を競うゲームです。
当時の子どもたちの間で人気を集め、「桃鉄で日本の地理を覚えた」という声も多く聞かれるなど、長く親しまれてきました。その当時の子どもたちは、現在ではα世代の親にあたるY世代です。
こうした背景から生まれたのが、「桃太郎電鉄 教育版Lite ~日本っておもしろい!~」。
最新版のゲームをベースに教育向けに内容を一部アレンジし、2023年1月から教育機関への無料導入がスタートしました。現在では全国約3,000校の小中学校で教材として活用されています。
親世代が親しんだコンテンツが、教育的要素を加えた形でα世代へ受け継がれている事例といえるでしょう。
レゴグループ「レゴビルダー」「レゴ シティ ミッション」「レゴライフ」
カラフルなブロック玩具で知られるレゴグループは、「子どもたちがレゴブロックでの遊びをもっと楽しむにはどうすればよいか」を常に追求しています。
説明書通りに組み立てることも、子どもたちの自由な発想で作品を作ることもできるレゴブロック。その遊びの幅をさらに広げるため、デジタルを活用したアプリなども展開しています。
「レゴビルダー」は、パッケージに封入されている紙の組み立て説明書を3D化したアプリです。完成見本が3Dモデルとして表示され、スマートフォンやタブレットの画面上で回転させながら確認できるため、α世代の子どもたちはもちろん、大人にもわかりやすいと評判です。
「レゴ シティ ミッション」は、ブロックとアプリを組み合わせたコンテンツです。アプリ内のストーリー仕立てのアニメーションに沿ってミッションが出され、それに応じてブロックを組み立てていきます。デジタルに親しみ、体験型の遊びを好むα世代にも人気があります。
さらに、子ども向けSNS「レゴ ライフ」も展開されています。レゴのキャラクターを着せ替えたり、作った作品の写真を投稿したり、他のユーザーの投稿に「いいね」を付けたりと、SNSならではの交流を楽しむことができます。レゴを通じてオンラインでつながることで、共感やお互いを認め合う体験が生まれています。
まとめ
デジタルネイティブでタイパを重視するといわれるα世代。
今後マーケットの中心を担うとされるZ世代の次の世代として、早くも注目を集めています。
彼らをターゲットにしたプロモーションや商品・サービスを企画する際には、α世代特有の価値観や生活環境を理解しておくことが重要です。
サステナブルやダイバーシティといった、α世代にとって当たり前となっている価値観を踏まえることはもちろん、リアリティや分かりやすさへの配慮も欠かせません。また、実際に購買の意思決定をする親世代であるY世代にアピールできるかどうかも重要なポイントです。
「コト消費」を重視する親世代の価値観を踏まえながら、子どもにとって有意義な体験や学びにつながる点をしっかりと訴求することが求められます。
弊社トランスでは、今回ご紹介したα世代・Z世代はもちろん、幅広いターゲットに向けたセールスプロモーションのご支援を行っています。



